休んでること知らないのだろうか。その後もいくつか通知が来た。
なんだいきなり帰ったのか。調子は悪くないのか。他にも色々と聞いてきた。いちいち返すのがめんどくさい・・・。
私は時間を確認し、電話をかけた。
声しか聞こえないけど、どんな表情をしているのかは、想像がついた。
正直言うと、鈴の声を聞きたいと思ってしまった自分がいた。なんか居心地がよかった。
強制的に切りたいのに・・・。
私はため息をつき、スマホを耳元へ戻した。後でうるさそうだし。
私が固まっている間に、通話が切れた。
俺が教室に入ると、モテモテイケメンがにやけてた。
初めてイケメンな奴を、気持ち悪いと思った。
ニヤけてるそいつの手を見ると、画面が開かれたままのスマホがあった。
これで確信した。あなた関係だな。
自分の席に着き、準備をしながら、後ろにいる鈴の相手をした。
うわ。アホだ。察しろよ!
熱出してフラフラ状態だから早退して、次の日復活してピースするやつを、俺は初めて見た。
呆れながらも、俺は鈴の方を振り返った。すると、さっきからこいつは、登校中の生徒がいる、校門を見ていた。
本当は、今日の朝に、あなたの母さんと会った。その時に聞いたのが正しかったら、あいつは休むはずなんだが・・・。
鈴は外から目線を外し、俺の顔を不思議そうに見てきた。まさか、聞いてないのか?
ここは言った方がいいのだろうか・・・。
そう言う鈴の目は、濁りがない、真剣な目だった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!