授業が終わるまで、私は保健室にいることにした。というか、担任にそう言われた。
本音を言えば、教室になんて行きたくない。まして、鈴だっていないんだ。
今まで一緒だった真理だって、今はよくわからないけど、私を裏切り者扱いしてるし。
先生は心配しているような顔でも、私に笑を向けてくれた。
チャイムが鳴り、クラスのみんなが席を立つ。でも、俺はなにもしないでじっとしてた。
それが違うんだよ・・・。
あの時のあなたちゃんの「好き」の声と、あの笑った可愛い表情が、何度も頭で浮かんでしまったのだ。
俺は我慢出来ず、あなたちゃんのクラスに行った。
すぐ隣の教室なのに、ドアを開けた瞬間、女子たちに囲まれた。
今思うと、最近寄ってくる女の子が嫌になってきた。
ちょっと申し訳ない気もしたけど、俺は彼女たちを避け、廊下へ出た。
教室の前に着くと、元あなたちゃんの親友がいた。あの人なら、一応知ってるかも。
一気に目の色が変わって背中が寒くなったけど、今はそんなこと気にしていられない。
彼女は無理やり作ったような笑顔で、質問に応えてくれた。
一瞬疑問には思ったけど、確かにそうだよね。いきなりは戻りずらいだろう。
彼女に礼を言って、俺はある場所へ向かった。
チャイムは鳴ったけど、まだ行くのが怖かった。
これじゃあダメだとわかっても、なかなか足が動いてくれない。
休みたいけど、お母さんにも大丈夫だと言ってしまったし、鈴にも心配はさせたくない。ここで頑張らないといけない。でも、首は横に動いてはくれず、止まってしまった。
ドアが閉まり、保健室は私一人になった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。