最近真司郎に女友達が出来たらしい。
席も離れてしまったし、話す回数が減ってしまって少し寂しくなった。
(実彩子と一緒に居りたい、とか言ってきたくせに。)
私、少し拗ねてます。笑
(別にいいけど。付き合ってるわけじゃないし。ただ、気になるだけだし?)
別にどうでもいいって思うのに、気分は下がり気味。
机に突っ伏していると、隆弘が上から覗き込んできた。
私は隆弘をチラッと見て、目を逸らした。
隆弘がなにか見透かしたように笑う。
(絶対なんか企んでる...!なに?)
わざとらしすぎる隆弘の台詞に、思わず顔を上げた。
しかもすごい大きい声で話す。
ガタガタッ
椅子が倒れる音がした。
音の先を見ると、真司郎がなぜか転んでいた。
さっきからずっとニヤニヤしている隆弘。
何?
真司郎がすごい形相で隆弘に飛びつく。
私の机をバンバン叩く。
隆弘はニヤッと笑った。
(さ、誘う予定???)
(西島にも言っとった????)
(何の話?!)
話が全然読めない。
隆弘は真司郎に向かって指をクイックイッと曲げる。
真司郎は隆弘に耳を近づけた。
私の前では2人だけの話が繰り広げられているみたい。
急に真司郎の顔が真っ赤になる。
(なになに?!)
私は気になって気になってしょうがない!
満面の笑みを浮かべ、ヒラヒラと手を振り自分の席へと帰っていく隆弘の背中を私たちはひたすら見つめた。
真司郎が突然口を開いた。
私は思わず、笑顔が溢れる。
真司郎のはにかんだ顔が眩しい。
なんだかいつもよりぎこちなく手を振って、席へと戻った。
(どうしたんだろ笑)
内緒話の内容が知りたい。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!