第5話

そんな…
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2017/12/01 02:50
また一人になっちゃったなぁ…。


このままサッカー見続けてもいいけど、暑いし、気になる人が出てるわけでもないし…


とりあえず、教室に戻るかー…。





「あれっ、千星と桃海じゃんっ」


「やほーっ…あ、席お借りしてマース!」


教室に戻ると私の席とあきの席をくっつけてお弁当を食べてる山中千星(なかやまちせ)と安藤桃海(あんどうももみ)がいた。


「あぁ、どうぞどうぞ…

二人はどーだった??」


確か二人はバドミントンだったよね。


私は美織の席の椅子を引いて千星と向かい合わせに座る。


「バドの結果?

1回戦敗退だよーっ!

あなたは?」


「こっちも一緒!

元バレー部がいっぱいいてさーっ!」


「そりゃ運が悪かったねぇ…

てか、美織たちは?」


「あぁ、美織は委員会、仁菜はデート、亜莉沙はー…んまぁデートかな」


亜莉沙の事情をなんて説明したらいいかわからなくて苦笑い。


「えっ、亜莉沙も!?

誰!?」


千星が身を乗り出す勢いで驚いて聞いてくる。


「んー、知らない人〜

私もさっき聞いたから、よくわかんないんだよね〜…」


まぁ、ぶっちゃけデートじゃなくて告白のOKしに行ってるんだけど…


そこまで詳しく広めちゃうのも亜莉沙に申し訳ないので曖昧に。


「へぇーっ!!

いいなぁいいなぁ!!

やっぱクラスマッチはそーゆーもんだよね!!!」


千星の目がキラキラしてる。


「だよねぇ…んで、私はボッチな訳ですよ…」


言いながら悲しくなってくる。


「あなたも一緒に回る?」


桃海がそう言ってくれた。


「いいのー?ありがとっ!」


ニコッと笑う桃海。


あーもーかわいい!


クラスで一番かわいいのは桃海だと思う。


「ボッチ3人、仲良くクラスの応援でもしますかぁ」


千星がお弁当を片付けながら言う。


「どこ行く?」


「んじゃ、とりあえず体育館で。」


教室を出て体育館へ向かう。


「まだ生き残ってるチームある?」


「男バレとか?」


「あとサッカー今やってたよ。

2グラで。」


「そーなんだーっ、でも靴履き替えて見に行くのはめんどくさいな〜」


「あちーっ…」


体育館に入ると、熱気がすごい。


むわっとした空気が入った途端にやってくる。


「あと何試合くらいで男子出るんだろー…」


「対戦表持ってるよー」


桃海が小バックから紙を取り出す。


「これの次、かな?」


「んじゃぁ壁際に座って待ってるかぁ。」


そう言って私達は端っこに3人並んで座った。


…あ。


扉の方を見ていると優人が入ってきた。


応援しに来たみたい。


やっと見つけた〜っ。


って、見つけたわけじゃないか…。


でも姿が見れただけで少し嬉しくて、にやけてしまう。


んー?


優人が外に向かって手招きしてる。


誰かと一緒に来てるのか。


ーえ…


ウソ…。


優人に手招きをされてたのは同じクラスの田口由望(たぐちゆみ)。


なんで…なんで二人が一緒に行動してるの…?


しかも、二人きり。


他に男子がいるわけでもなく、二人きり。


何やら二人で座って話し笑いあってるけど、遠い上に周りが盛り上がってて何も聞こえない。


まさか…優人と由望って…


でも由望は、つい一週間くらい前まで潤くんと付き合ってた。


原潤(はらじゅん)くんは同じクラスの男の子で、優人とも多分仲がいいと思う。


2人とも同じ部活だし。


そんな、1週間で違う人に乗り換えちゃうの?


優人も友達の元カノとそんな簡単に付き合えるの?


てかまず、二人って付き合ってるの?


でも…一緒にいるってことはそーゆーこと…だよね?


…なんとなく、そう思うことは度々あったよ。


由望と優人はよく喋ってるし、二人で一つのイヤホン使って音楽聴いてるのも見たことあるし…。


一気に周りが黒くなったような気がした。


私の…入る隙間ないじゃん…。


「ねぇあなた、8組みんなあっちにいるから移動しよ。」


千星にそう言われ、現実に引き戻される。


「あ…うん…」


あっちって、優人たちがいるほうじゃん…。


あんまり近づきたくないな…。


人の間を抜けて進んで行く。


ーパチッ


優人の横を通り過ぎる時、優人と目が合った。


でも私はふいっと逸らしてしまう。


二人が一緒にいるとこなんて、見たくない。


こんな時に目が合ったって、少しも嬉しくない。


もう、やだ。


私の失恋、確定しちゃった…。

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