第20話

近くて遠い
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2017/12/01 03:50
「よしっ、これで全員合計点出たね!」


水曜日の4時間目、全教科のテスト返しが終わった。


お昼休みにいつもの4人で報告会。


「行くよー?」


せーのっ、という掛け声とともに、合計点を書いた紙を見せ合う。


「お、いっちばーん!」


今回のテストは私が一番いい点数だった。


「うげ、奢りじゃんーっ!」


「ごちそうさまでーすっ」


美織がへなへなと倒れる。


「おーい、今日放課後席替えすっから残ってけよー」


学級長の鳴海航(なるみこう)が言う。


やった!


席替え〜っ。


「良かったじゃん、あなたすっごい楽しみにしてたもんね〜」


苦笑いで言う亜莉沙。


えへへっ。


期待するは優人の隣!


あ、いや、近く!


いつも見てるテレビの占い、今日は3位だったからそこそこいい席になるはず!


…確証はないけど。





「よし、全員引き終わった。

夏帆、書けたー?」


夏帆は副学級長。


毎回座席表を書く。


「おっけい!

グルチャにあげるね〜。」


みんながLINEを開く。


私の席は〜っ…。


「うそんっ!?」


私は座席表を見て驚愕。


「どしたの、あなた」


美織が聞く。


「え、も、え…ま、マジかぁ…」


言葉にすらなってない。


私は机に突っ伏した。


「んー?

っわひゃひゃひゃっ!!!」


「笑い方!」


私の座席を確認したであろう美織が盛大に笑う。


「だってあなた、あんなに席替え楽しみにしてたのに〜…」


「あーれー?

あなた席変わらないんじゃーんっ!」


そう横から突っ込んできたのは仁菜。


「うぅぅ…」


そう、私の席はこのままここ。


教室の後ろから2番目、一番廊下側の席。


新鮮な景色を見たかったのに…。


「まぁまぁ、ドンマイっ」


はぁぁぁ。


「てか、みんな近いじゃんっ!」


移動し終えたあと、みんなで一旦席についてみた。


私の2個前が美織、左斜め前が亜莉沙、左斜め後ろが仁菜。


「ジグザグだね〜」


近くて話しやすい、まぁ周りのメンバー的には良い。


ちなみに…優人の席は…


亜莉沙の前っ。


前より距離は近い。


けど、ビミョー!


「あーぁ、変わりたかったなぁ…」


「じゃ、交換するー?」


「へっ、」


亜莉沙が言った言葉に驚く。


席交換!?


って、優人の真後ろじゃないですか!!


「え、いいの…?」


「んー、どーだろ?

あたし的にはいいけど、もう書いちゃったしねぇ…。」


「そっかぁ、じゃあ、うん、大丈夫。

ありがとねっ」


一瞬上げられた私のテンションはまた通常に戻る。


んー、3位ってこういう事なのかぁ…。


近いけど、遠い。


なんとも中途半端な。

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