ナレーションの人に呼ばれ準備しておらずに混乱する貴澄を焦った顔をしてこちらを見つめる蕾を見て、4人は早く行けと言わんばかりに貴澄の背中を押す。
零鵺に急かされ戸惑いながらステージに上がる貴澄、泣きそうになりながらも一度深呼吸して急激に満面の笑みになる。
舞台裏で自信がないとか言っときながらフロアを最高に沸かせた貴澄を横目で見ながら四人はせかせかと準備を始める。
最後の決め台詞まで完璧に決めた貴澄が戻ってきた。
準備を終えて貴澄の発表について話していると、とうとうこの時間が来てしまった。
名前を呼ばれた叶の背中を応援の言葉と共にバシンと叩く、その手に他の4人も手を添えてそれぞれが応援をする。
自信満々でステージ上に上がる叶
貴澄と同じく一度深呼吸して前を見つめ直す。すると冷静になって初めて気づいた。ものすごく人がいることに、そして案の定隠キャ+人見知りという要素が重なりさっきまでの自信は消え失せてしまった。
それから長い沈黙が続き叶が舞台袖を見ると5人がこちらを見て心配そうにしていた。
それを見た叶がもう一度深呼吸する。
そして静かに審査員側に歩いて行き、蕾の前で止まった。
みんなが黙る。
そしてようやく叶が口を開く。
時が止まる
ステージ上に零鵺・万莉・白兎が上がる。とめに来てくれたと、ホッとする審査員達をよそに彼らは大喧嘩を始めた。
喧嘩する四人を止めようとする貴澄を葉が止める。
葉に正論を言われて貴澄が止めるのを諦めたころ客席から笑い声が混じる歓声が聞こえた。
ステージ上を見ると、蕾の前で今日2度目の土下座をする零鵺といまだ喧嘩を続ける三人の姿があった。
すると急に喧嘩をやめ四人が蕾に向き直る。
さらにおかしなことになった現場で、初めて蕾が口を開く
わかってはいたがあっさり振られてしまい狂気じみている四人を貴澄と葉が引きずり落とす。
放課後 帰り道
と、そのあとそれぞれが家に帰り明日から始まる文化祭に向けての準備を進めていた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!