郁ちゃんと麻子ちゃんの部屋で勉強会中。私は偶に2人のこの部屋に泊めてもらうこともある。今日みたいな勉強会の時。
ピロピロン
堂上二正からのLINEのメッセージ。二正はいつも、この勉強会がある時に必ずこういうメッセージを送ってくる。
郁ちゃんの事になると、エスパーの力が働くみたいだなと私は思っている。
麻子ちゃんにしごかれて、さらにあの3人にしごかれるのはいくらなんでも可哀想。
すみません、堂上二正。嘘、つきました。
メッセージを送って顔を上げると郁ちゃんと麻子ちゃんがにやにやしながら見ていた。
時を同じくして男子寮
小牧の部屋に堂上と手塚が集まって部屋飲みをしていた。
部下の友人、それも直接接点がないはずのあなたとLINEをしている堂上を見て、小牧は内心面白がっていた。
手塚の言葉に上官2人は頷いた。あの笠原が座学の勉強で手のかからない訳がない。
何度かあなたとやり取りした堂上は、急に立ち上がった。
小牧は堂上の手の中にある端末を盗み見た。
そして、何故こんな早い時間に寝ようとしたのか合点がいった。
とてつもなくいい笑顔で言った小牧を見て、堂上の眉間の皺が深い川を作ったのは言うまでもない。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!