第3話

図書隊その3
931
2017/09/23 17:06
笠原郁
もう無理ー、休憩しよーよー
柴崎麻子
まだ最後まで解けてないでしょ
あなた

もう少し頑張ろ?

郁ちゃんと麻子ちゃんの部屋で勉強会中。私は偶に2人のこの部屋に泊めてもらうこともある。今日みたいな勉強会の時。
ピロピロン
堂上篤
『笠原が弱音を吐いたら報告しろ。堂上班でしごく』
堂上二正からのLINEのメッセージ。二正はいつも、この勉強会がある時に必ずこういうメッセージを送ってくる。
郁ちゃんの事になると、エスパーの力が働くみたいだなと私は思っている。
あなた

『今の所は大丈夫です。柴崎さんがいるので吐くにも吐けません。』

麻子ちゃんにしごかれて、さらにあの3人にしごかれるのはいくらなんでも可哀想。

すみません、堂上二正。嘘、つきました。
堂上篤
『そうか、分かった。早めに寝ろよ』
あなた

『はい。2人にも伝えます。二正もおやすみになって下さい』

堂上篤
『分かった、おやすみ』
あなた

『二正、おやすみなさい』

メッセージを送って顔を上げると郁ちゃんと麻子ちゃんがにやにやしながら見ていた。
あなた

……どうしたの?

笠原郁
誰としてたの〜?
あなた

堂上二正だよ、郁ちゃんの勉強が捗ってるか気になったみたいで

柴崎麻子
……あなた、それ本気で言ってる?
あなた

え?

柴崎麻子
本当に笠原の勉強が気になるなら、本人に直接自分が教えたらいい話でしょ
頼むのも同室の私に言えば早いわ。それなのにあなたに頼むのはなんでかしらね?
あなた

……そう言われれば、なんでだろう?

時を同じくして男子寮
小牧の部屋に堂上と手塚が集まって部屋飲みをしていた。
部下の友人、それも直接接点がないはずのあなたとLINEをしている堂上を見て、小牧は内心面白がっていた。
小牧幹久
堂上、誰とLINEしてるの?
堂上篤
あなただ。笠原が弱音吐いてないか聞いたんだが吐いてないらしい
手塚光
……嘘っぽいですね
手塚の言葉に上官2人は頷いた。あの笠原が座学の勉強で手のかからない訳がない。
何度かあなたとやり取りした堂上は、急に立ち上がった。
小牧幹久
どうしたの?堂上
堂上篤
そろそろ寝る
手塚光
まだ9時半ですけど、早くないですか?
堂上篤
……
小牧は堂上の手の中にある端末を盗み見た。
そして、何故こんな早い時間に寝ようとしたのか合点がいった。
小牧幹久
おやすみ、堂上
とてつもなくいい笑顔で言った小牧を見て、堂上の眉間の皺が深い川を作ったのは言うまでもない。

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