プリ小説

第10話

お見舞い
「…あ、うん、いいけど…。」


一緒に行ってもいいかなんて聞かれると思ってなかったから、反応が遅くなる。


「よし、じゃー、行こう。」


片付けを終えて、残っているのは1年生だけ。


戸締りは1年生の仕事だけど今日は当番じゃないので先に帰れる。


「おつかれーっ」


虹太くんと私で音楽室を出る。


「あ、わたし、自転車取ってくるね。」


「おうっ。」


…なんでだろう、虹太くんが悠貴のお見舞いなんて。


ふたりが教室でそんなに話してるイメージも無い。


特別仲いいわけじゃないと思うんだけどなー…。


しかもたかが風邪。


ーもしかしてあなたのことー


ふっと頭の中に七海の声が蘇る。


ドキッ。


いやぁ、そんなまさか。


期待して、傷つくのはやだなぁ。


そんなことを考えながら自転車を押して校門へ。


「…オレが自転車押そうか?」


「えっ」


虹太くんと合流するとそんなことを言ってくれる。


「いやいいよ!

大丈夫!」


「でもあなたいつも乗って帰ってんだろ?

オレのせいで歩かせちゃってるわけだし、申し訳ないからオレ押すよ。」


ん、と言って虹太くんは手を差し出す。


「じゃあ、お言葉に甘えて…。」


カバンカゴに載せていいよって言ってくれたり、歩いてる時も車道側にたってくれたり…なんか女の子扱いされてる気がする。


…慣れないな〜っ。





「ここだよっ」


悠貴の家の前で立ち止まる。


「あ、家に自転車置いてくるね。」


私は自転車を置きに家に向かう。


あれ、お母さん帰ってるんだ〜…。


じゃあ一旦荷物置いてこよーっと。


ーガチャ。


「ただいまー。」


「あぁ、おかえり。」


「私ちょっと悠貴ん家言ってくるけど…。

なんか持ってくもんある?」


お見舞い行くならなんか持ってった方がいいよね。


「じゃあ…おじいちゃんからさくらんぼ届いてるから持って行ってあげたら?」


おじいちゃんはさくらんぼ農家。


毎年この時期に贈ってくれる。


「はい、これ。」


「ありがとっ。」


さくらんぼを受け取ってまた家を出る。


「ごめんお待たせっ。」


虹太くん、外で待たせっぱなしにしちゃった!


「いいよ、大丈夫。」


ーカチャッ


悠貴の家、昔からお父さんもなっちゃんもなかなかいないから、もしもの時用に一応私のお母さんが合鍵を預かってる。


その鍵を使って悠貴の家に入る。


「おじゃましまーすっ。」


「おじゃましますっ。」


私の後に続いて虹太くんも入る。


2階に上がって悠貴の部屋のドアを叩く。


「悠貴ー、入るよ?」


「おー…」


中から悠貴の声。


起きてんのか。


ドアノブを回してドアを開けると、ベッドの上に座ってスマホをいじっている悠貴の姿が。


あの持ち方…ゲームしてるな?


「ちょっと、病人がなにしてんのーっ!」


「あぁ、昼飯食って寝て、起きた時にはもう熱なくなってた。」


「もー、心配して損したっ!」


私はどさっとお土産の袋をテーブルの上に置く。


「お?なにそれ。」


「さくらんぼのおすそ分けっ!

でももう治ってるならいらないかぁ…。」


「いるいる!

あー、ちょっとまた熱出てきたかもー。」


そう言いながらへなへなとベッドに横たわる悠貴に冷ややかな視線を送る。


「ふっ…」


そんな中、笑ったのは虹太くん。


「おー、虹太、来てくれたんだー」


「あぁ、一応隣の席だしなっ。」


虹太くんはカバンの中からプリントを取り出し、悠貴に手渡した。


「サンキュー。」


「…しっかし、変わってないね、この家。」


ん?


「虹太くん、悠貴ん家来たことあったの?」


「いや?」


悠貴が答える。


「どっかと勘違いしてんの?」


「いや、オレ来たことあるよ?

さすがに部屋の中は変わってるみたいだね。」


んん??


「は?どーゆーこと?」


悠貴が眉をひそめる。


ふっ、と虹太くんが笑った。


…っ。


なんだろう、さっきから感じてるこの変なモヤモヤ。


虹太くんはシャラっとカバンからあるキーホルダーを取り出した。


「「!」」

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*ゆうう*
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