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第11話

キーホルダー
「虹太…それ…」


虹太くんが持っているキーホルダー。


丸いクラフトチャームの中に虹の絵が描かれていて、色とりどりの小さなビーズで周りが囲われている。


私はそれに見覚えがあった。


もちろん、悠貴も。


いやでも…そんなはずはっ…


「このキーホルダー?

オレのだけど?」


「じゃ、じゃあお前それどこで買ったんだよ!?」


「…んー、そうだなぁ、買ってない、作ってもらった。」


じゃあ…まさか…


「に、“にじ”…なの?」


私は恐る恐る聞いてみる。


そんな…


虹太くんは少し寂しそうな顔をしてふっと笑って言った。


「気づくのおせーよ…バカ。」


じわっ…


目元が熱くなり、視界がかすむ。


そしてツーとなにかが頬をつたう。


「…泣くなよーっ。」


ははっと笑う虹太くん。


「だっ、だってぇーっ!

一生会えないと思ってたからぁーっ」


ヒックヒックとしゃくりをあげながら泣く私。


「虹太が…あの“にじ”なんて…。」


“にじ”


私たちが幼稚園の年少の時まで一緒にいた幼なじみ。


“にじ”のお母さんが私たちに教えてくれた、「この子の名前にはあれとおんなじ漢字が入るんだよ」と雨上がりに掛かっていた虹を指しながら。


漢字ってなんなのかその時はよく分からなかったけど、それから私たちは虹太くんのことを“にじ”って呼ぶようになった。


別に、バカにしてるわけじゃないよ?


イントネーションだって、虹とは違うし。


ずっと“にじ”って呼んでたから、本名すっかり忘れてた…。


毎日毎日休みの日でも雨の日でもいつも3人で遊んでた。


でもある日突然いなくなった。


理由は分からず、もう会えないと思っていた。


「オレの名前の漢字、分かってる?

どう考えたってオレが“にじ”だよ。」


にこっと“にじ”が微笑む。


「あ…」


そっか、分かった。


私が時々、虹太くんに対して感じてたモヤモヤの正体。


笑った顔が…“にじ”にそっくりだったんだ。


幼稚園児と高校生じゃ全然違うけど、どこか面影があった。


「そのキーホルダー、まだ持っててくれたんだねっ」


私は涙を袖で拭きながら言った。


“にじ”が私たちに見せたキーホルダーは昔私が作ってあげたもの。


“にじ”には虹のイラスト、悠貴には星、私はハート。


「当たり前じゃん、宝物だし。」


「オレも持ってる!」


そう言って悠貴がカバンのポケットから取り出した。


そして私もスカートのポケットから。


「なんだ、みんなとっておいてくれたんだねっ」


なんだか嬉しいな。


「おうっ、しかも毎日持ち歩いてっから!」


ニカッと笑う悠貴。


つられて私も笑顔になる。


もー、2人とも大好きっ!!

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