プリ小説

第12話

過去
「ねぇっ!」


にじがそばにいるってだけでテンションが上がっちゃう。


「ん?」


「これからはさ、“にじ”ってよんでもいー?」


虹太くんがにじだったって分かったから、もう昔の呼び方してもいいよね?


「んー…」


にじが迷っている表情をする。


「学校で呼ばれるのはちょっと恥ずかしいかな…」


…っ。


にじが…照れてるっ!!


なにそれかわいい!


顔を赤くして、うつむくにじ。


「んじゃー、3人でいるときだけ、にじって呼ぶか!」


悠貴が言う。


「おぉ、それならいいっ!

なんか3人だけの秘密っぽいね」


“3人だけの秘密”


その言葉にときめく。


悠貴とにじが笑いあってる。


なんかいいな、この空間。


また昔に戻ったみたい。


「なぁ、にじ。

こっちには住まねぇの?」


悠貴が質問を投げかける。


「んー、暮らそうと思えば暮らせるんだけどな〜…

お母さんは…乗り気じゃないかもしれない。」


…なんでだろう。


悠貴も「なんで?」って聞きたそうだけど、聞いていいものなのか迷ってるみたい。


だってにじの顔が、今までで一番曇ってたから。


でも突然ぐっと顔を上げて言った。


「…やっぱ話しとく!

2人には知っといてもらった方がいいかも。」


長くなるからと言って私たちは床に座り、にじは静かに話し出した。


にじの家の引越しの理由はお父さんとお母さんの離婚にあったらしい。


お父さんは元々厳格な人で仕事もできる人だった、多分部長とかそのへんのレベルの人だったんだと思う。


でもある日会社で大きなミスをして、会社を辞めざるを得なくなった。


お父さんは自尊心の強いひとだったらしいから、自分の失態に嫌悪感を抱き、立ち直れなくなってしまった。


それからはもう、堕落した生活を送って、女の人に貢いで借金したり、何かあると家族に当たったりと酷かったらしい。


にじに対して暴力をふるったこともあったそう。


そういえば、にじはよくアザを作ってた。


どうしたのって聞くと転んじゃったって毎回答えてた。


だから私たちはドジだな〜って言って笑ってるだけだった。


「…それで、もう耐えられなくなったお母さんがオレを連れて出てった。

確か夜中に。

だからオレ、あなたと悠貴に何も言えないまま、引っ越すことになっちゃったんだ…。」


そんな…。


なんて言ったらいいか分からない。


にじの家庭がそんなことになってたなんて、思ってもいなかった。


それくらいにじは弱みを私たちに見せなかった。


ホントは辛かったはずなのに…。


「…オレ、怒ってるよ、にじ。」


悠貴がいつもより低い声で言う。


「なんでオレ達に相談してくんなかったんだよ。

さすがに幼稚園児でもお前の話し聞いてやったり、家に泊めてやったりすることはできただろ?

オレ…それ知ってたら…あんとき…」


悠貴が悔しそうに唇を噛んだ。


「あのとき…って?」


ふたりの間で何かあったのかな?


「…あなたが出かけてた時、オレたち2人で遊んでたんだ。

その日、午後から雨が降ってきたからオレん家で遊んでたんだけど、8時になってもにじは帰りたくないっつったんだ。

オレはもう遊び疲れて眠かったし、どうせ明日も遊べると思ってたから、帰れって言ったんだ。

でもにじはヤダって。

だからその後ケンカになって…それで…っ。

もうウザい、どっか行っちゃえって言ったんだ…。」


…。


「そしたらにじは、何も言わずに帰った。

オレはその後冷静になって言いすぎたなって後悔したんだ。

でも夜遅かったし、明日謝ればいいやって思ってたら…

次の日、にじはいなくなってた。」


そんな事があったんだ…。


だから悠貴、にじがいなくなったあとにじの話を避けてたんだ。


私がにじの話をしようとすると、黙ってどっかに行ったりケンカになったり。


あのとき、悠貴の事が大っ嫌いだった。


でも悠貴とにじにはそんな過去があったから…。


私、何も知らなかった。


「オレがあんなこと言ったせいでいなくなったんだってずっと思ってて…にじに、謝りたかったんだ…。」


悠貴…。


「…悪かったな、にじ。」


「いや、オレこそ、言わなくてごめん。

それに、悠貴のせいじゃない。

たまたまケンカと出ていくのが重なっちゃっただけだから…。」


それを聞いた悠貴はふっと笑って言った。


「じゃーこれでおあいこな!

ハイ仲直りっ」


そうして手を上にあげる。


小さい頃にやってた仲直りの方法。


ニッとにじも笑って悠貴の手とハイタッチする。


昔はみんな思い切り手を伸ばすから背比べみたいになって最終的に仲直りしてるっていうパターンだったなぁ…。


「なぁ、時間もあるし、ちっさい頃にやってた遊び、久しぶりにしねぇ?」


「あぁ、あれね!」


「3人の考えてること、合うかどうかせーので言ってみる?」


「いーい?

せーのっ」


「七並べ!」

「神経衰弱!」

「ババ抜き!」


…。


「全員違うじゃーんっ!」


「トランプって所は一致してんだけどなーっ」


そう言って笑い合う。


この時間が、すごく楽しかった。

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*ゆうう*
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