第17話

お昼休みの恋バナ
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2017/10/05 22:13
「あ。」


私、こんなとこでのんびりしてる暇じゃない…。


ご飯食べてないじゃん!!


スマホで時間を確認する。


「あと3分…」


無理、食べれない。


ーガチャ


背後で扉が開く音。


振り返ってみると三空がいた。


「あれ、どーしたの三空。」


「はいっ、これ。」


そう言って差し出されたのは私のお弁当。


「昼休み、もうちょっとで終わりそうなのにあなた帰ってこないから…」


「あ、ありがとうっ!!」


なんて優しいんだ!


「このあと掃除だけど、サボっちゃえー!

ここ、誰も来ないし。」


「うんっ、とりあえず食べるねっ」


もう、本当に好き!!


パカっとお弁当の蓋を開ける。


今日はハンバーグ〜っ!


「あ、もしもしー?」


私が食べている間、三空は七海に電話。


「うんっ、こっちにいるよー。

うん、はーいっ」


「そだ、七海は教室にいるの?」


「そう、私があなたとすれ違いに教室戻っちゃったら困るから、七海は教室待機。」


「えーもー、ほんとにありがとう!」


そこまで気遣ってくれるなんて…


友情にじーんとする。


そして、チャイムの音が聞こえた。


「あ、掃除始まった」


「七海遅いなぁ…掃除に行っちゃうのかな?」


「え、七海来てくれるの!?」


「うんっ、さっき電話で言ってたから来ると思うよ。」


なに〜、申し訳ないですっ!


数分後、七海がドアからひょこっと顔を出した。


その頃にはもう、私はデザートの果物を食べ始めるところだった。


「遅かったね」


「掃除場所行って「あ、忘れ物してきた!」って言ってから来たから遅くなっちゃった!」


「お主も悪よのぉ…」


三空が時代劇風につっこむ。


「ひっひっひっ」


「やめてー、ヘン顔笑う。」


「もはや白目。」


もー、七海ってばすぐ変顔したがるんだから…。


「あ、2人とも来てくれたからお礼にこれ一つづつ取ってってー」


私はサクランボを差し出す。


「え、いいのー?

ありがとっ!」


「いただきまーす」


「んんっ、おいしっ!」


「甘いっ!

え、これどこで買った?」


よかったー!


「ふっふっふっ」


私は不気味な笑みを浮かべる。


「なになに、怖いよ?」


そう言いながら笑う三空。


「企業秘密ー?」


ふふ、そーゆー訳じゃないけど…


「実はっ…」


ぐっと二人が前のめりになる。


「おじいちゃん家で採れたやつなの〜」


「「え!」」


いやぁ、自慢のおじいちゃんだぁ。


「すご、え、もっと欲しいんだけどっ」


「んー、じゃ、1個100円で売ってやろう」


「高いわっ」


そう言って3人で笑い合う。


女子の友情も負けたもんじゃないよねっ。





それから話は恋バナへ。


「んで、三空は順調ね。」


「えへへ」


…語尾にハートマークが見える。


三空、この前瀧くんとお出かけしたらしい。


中学の友達何人かと行ったから2人っきりじゃなかったけど、映画見る時に隣だったらしい。


友達がそうセッティングしたみたい。


「告白しないの?」


「そろそろいいんじゃないっ?」


「えぇ〜」


三空、「えー」とは言いつつも顔がほころんでる。


いいなぁいいなぁ!


「って、私だけになっちゃうじゃんっ!」


「なにが?」


「非リアだよっ!

2人とも彼氏作っちゃってー、悲しいぞっ!」


ボッチはひとりだけ〜…


「いやまだ私付き合ってないよ!?」


「でももうそろそろ…?」


七海がそう言うと三空の顔がみるみるうちに赤くなっていった。


「あー、三空可愛いっ!」


こんな女の子、理想でしょ!


これで瀧くんもイチコロっ!


「もう頑張ってーっ」


「ありがとーっ」


三空の恋、成就してほしいなっ!

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