第20話
ドラマ
「ファイトーっ!!」
「行け行け行けっ!そこっ!あー…」
「今の惜しかったね!」
お昼ご飯を食べ終わって、四人で校門前に待ち合わせてからサッカー場へ向かった。
「悠貴、まだ出てないね。
途中で替わるのかな?」
「んー、そうじゃない?」
一応、午前中勝ったらしい。
その時悠貴は出てなかったみたいだから、このあと出てくれるとは思うんだけど…。
「てか、めっちゃ暑いねー」
6月とは思えないほど今日はいい天気。
もう半袖でも居られるくらい。
「今いくつだっけ?
1対0?」
「そー。」
相手の高校に1点を取られ、負けている状況。
頑張って勝って!
そう思って両手をぎゅっと握る。
後半に入り、悠貴が交代。
「悠貴ーっ!!
頑張れー!」
思いっきり大きな声で叫んだら、届いたみたい。
悠貴がこっちを振り向いた。
最初にびっくりした顔をしたけど、その後にぐっと拳を突きつけた。
私も同じように返す。
まぁ、来るって言ってなかったからね、驚くのも無理ないか。
ほんとに、頑張って!
開始早々、3年生のキャプテンがまず1点。
「よしっ、取り返した!!」
「同点!
こっからこっからー!!」
応援してる私達も熱くなる。
同時に、なんか緊張してきちゃった。
試合の展開は互角で、ドキドキしてしまう。
惜しいプレーもあったり、危ない時もあったり。
そんな中、残り5分。
「悠貴が取った!!!」
相手のゴール付近で悠貴が相手からボールを奪った。
「行けーっ!!」
「そのままっ!!」
お願いっ、決めてっ!
「ゆーきーっ!!!」
自分が持ってる最大の声を出したつもり。
悠貴に届いてる?
ーピーッ!
「キャーッ!!!」
「オォォォォッ!!!」
沸き立つ観客。
ゴール…決まった…!
すごい、凄いじゃんっ!!!
1年のくせに、悠貴のくせにっ!
かっこいいよ、ばーかっ!
私はにじとハイタッチ。
「最高!!」
悠貴がピースサインを見せる。
なんかもう、感動して涙出てきた。
その後、相手校に1点も取らせることなく2対1で勝利を収めた。
「…お疲れっ」
「おうっ。
サンキュ。」
サッカー部は学校までバスで。
私たちはその前に会場を出て、解散した。
そして、私は学校で悠貴を待ってた。
私が学校に着いた数分後にサッカー部のバスも到着。
明日に向けて、早めに解散。
「あなた応援来てくれてたんだな。
マジでびっくりした。」
「あははっ、驚かせようって気持ち半分と、前日から伝えといたらプレッシャーになっちゃうかなーと思ったの。」
今日は2人とも自転車じゃない。
いつも駆け抜けていく通学路をゆっくりと歩く。
「その気遣いはどーも。」
「悠貴、かっこよかったじゃんっ!」
「なんだよ、素直じゃん。
照れるわっ!」
頭をかく悠貴。
本気で照れてる。
「だって凄かったんだもん!
感動したよ〜。
幼なじみの私が言うんだから間違いない!」
もうずっと一緒にいるとお世辞なんて言わない。
まぁ、かと言って毎回素直に褒めたりはしないんだけど。
「そりゃありがとうございますっ。
つか、あなたの応援マジ効いた!
「ゆうきー」ってめっちゃ叫んだろ」
笑いながら言う悠貴。
「うんっ、聞こえてた?」
よかった。
「おう、あのおかげで、よっしゃ、もうひと踏ん張りって思ってゴール決めれたようなもんだよ。」
「いやぁ、そんな、悠貴の実力でしょ!」
「んなことねーよ?
応援のおかげ。」
なにこれ、恥ずかしい。
私のおかげで勝てたとか、ウソでもニヤけるわ!
「まぁ、2勝目おめでとっ!!
明日も頑張れっ!」
「おう!
またみんなで応援来てよ。」
「さぁ?」
「おいっ!
そこはうんって言っとけ!」
「あははっ」
この時は思ってなかった。
あんなLINEが届いてるなんて。
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