「ふふ〜んふ〜んっ
ただいまーっ」
鼻歌を歌いながらリビングにいるお母さんに声をかける。
「おかえり。
なに、上機嫌じゃない?」
えへへ。
「だって今日ウチのサッカー部勝ったんだよ!
しかも、悠貴がゴール決めたのーっ」
まるで私がプレイヤーだったみたいに嬉しくて、テンションが上がる。
「へぇー、1年生なのに、すごいねゆーちゃんは。」
お母さんは悠貴の事をゆーちゃんって呼ぶ。
もう高校生なのに、まだその呼び方?って感じだけど。
「あ、あなた、ちょっと洗濯機回しといて。」
「はいはーいっ。」
お母さんに言われたとおり、洗濯機を回して部屋に戻る。
ベッドにダイブするとどっと疲れが押し寄せてきた。
「はぁ…」
応援するだけでも疲れた…。
寝返りを打とうとすると、硬いものが腰骨にあたる。
ん?
あ、ズボンのポケットに入れっぱなしにしてたスマホか。
そーいえば、今日全然いじってないや…。
画面を開くと、LINEの通知がたくさん。
うげっ、クラスLINEが何やら盛り上がってて通知が50…。
なんの話…?
トークをタップすると、なにやら文化祭の買い出しの計画のよう。
文化祭は7月の第1週目だから、あと2週間。
私たちのクラスは男女逆転喫茶。
何でこんなのにしたんだか…。
まぁ、私は料理担当だから男装はしないけど…。
にじも悠貴も女装して接客係。
1回目の買い出しで買ってきたカツラを付けたら可愛かった、2人とも。
「ふっ…」
思い出して笑っちゃう。
今回の買い出しは、装飾品か。
あ、三空も七海も行くんだ〜…。
じゃあ私も行こっかな…。
『行ける』という方に投票する。
さて、ほかの人にも返信しないと…。
一番上に三空が表示されたのでそこを押す。
『今日楽しかったね😄
悠貴くんかっこよかった😆』
はは、悠貴に言ったら喜ぶぞ〜。
『だね!
明日も行く!?』
私が送信するとすぐに既読が付いた。
毎回早いなぁ…。
『行きたい!
悠貴くんのシュート、もう1回見たい😆』
そんなに!?
もう悠貴のファンじゃんっ。
『じゃあ行こっか〜!
七海は部活あるって言ってたし…2人で?』
『そうだね〜👍
あ、あと…』
あと?
『???????????????????』
私は送られてきた文字に、なぜか凍りついてしまった。
『悠貴くんのこと好きになっちゃったかも😳』
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。