1週間カップル6日目
ふぁああと声に出しながら欠伸をした蒼依
今日はトッポを食べている
蒼依は常に甘い物を食べておかないとイライラするらしい
トッポ以外にもポッケの中にはハイチュウやらマシュマロやら色々入っている
自分の下駄箱を見て言ってきた
何か入ってたのかな
覗いてみると上履きの上に手紙が置いていた
あ、これってもしかして
封筒の裏を見てみるも名前はない
ただ「三橋 蒼依ちゃんへ」としか書いてない
帰って読むかと思いきやその場で封を切って読み始めた
蒼依はたまにふざけるけどこういうのはちゃんと真剣に読む
ある意味私より大人かもしれない
5分もすると読み終わったのか顔を上げた
そして何故か私の顔を見た
すごく不安そうな悲しそうな顔をしている
え、何か脅しみたいなの書いてたのかな?
手紙を私に見せながら
蒼依漢字苦手だもんね…
でもこれ私読んでいいのかな
内容知るのは何か申し訳ないな〜…
返事いらないって事?
書いたのが誰か分からないと確かに返事の仕様がない
それなら読めなくていいかと開き直った蒼依は教室の方へ歩き出した
一体誰からなんだろ?
教室に入ると蓮がまだ眠いのか机で突っ伏してた
周りの男友達から髪を結ばれていたり女の子からは寝顔を勝手に撮られている
扉から聞こえた今日も元気な声
滝瀬くんは体操着で首からタオルをぶら下げている
髪も少し濡れていた
いつもは教室に入ってくるのに今日は手招きをされた
どうしたんだろ
椅子から立って廊下に出た
あ、なるほど
サッカー部は朝練あるんだ
3時間目が体育だから教科書を持ってきていた
体育の教科書は全学年共通の教科書
そういうことか
いいよと返事をして教室へ戻ると自分の机の引き出しの中から体育の教科書を出した
自分の教室に戻って行った滝瀬くん
…あ、教科書に落書きしてたような…
いいか…
自分の席に座って蓮を見るとまだ寝ている
周りの友達は違うところへ行って誰もいない
…別に寝顔何て私は見ようと思えば毎日見れるし…
あの子達みたいに写真撮らなくても…
ダメだ…好きって気付いた途端嫉妬してる…
簡単に撮られて…
何なら私の家には小さい頃の蓮の写真だってある、幼なじみの特権
1時間目が終わるとすぐに返してくれた
たまにすぐ返してくれない人が居るから安心した
今度からちゃんと落書きしたら消そう…
落書き何書いてたっけ
パラパラと捲ってみるとうさぎの絵だったりクマの絵だったり
はたまたクマの絵にセリフで「お腹空いた〜」と言わせている
あとは眠いだの何だの書いている
滝瀬くんは笑った
………何だろう
後ろからすごい視線感じる
ぎこちなく後ろを振り向くとポッケに手を入れて立ってる蓮
さっきまで寝てたじゃない…
1時間目が始まっても寝てる蓮が何故今は起きているのか
私は何の誤解をとこうとしてるのか
私の言葉は無視か
睨み合ってる2人を私は無視を決め込もうと自分の席に気付かれないように戻ろうとするがそう簡単には行かない
ガッチリ蓮に腕を掴まれている
ソウデスネ。
私告白された側だから関係はめちゃくちゃある
ここから抜け出したい…
滝瀬くんは自分の教室に戻ると私も自分の席へ
そういえば滝瀬くんはまだ私の事を好いてくれてるんだよね…
一度振ったけれどまたちゃんと断った方がいいのかな
何?と返事をすると何故か笑った
はめられた…
はめられてムカついたので私は負けずと発した
なぜこんなに拒否るのかは小さい頃の蓮はよく女の子の格好をさせられていたから
男兄弟で女の子がいない蓮の家族
おばさんが女の子の欲しさに蓮によく女の子の服を着せていた
普通の男の子の格好もあるけど女の子の服着た蓮も沢山私の家にある
心臓が高鳴ってキュウウと締め付けられる
急にかっこいい事言わないでよ
もっと好きになる
あー
蓮に抱きしめてほしい
私には似合わない思いを自分の中にしまって私は今日も蓮にドキドキさせられる
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!