あの日母から知らさせた悠斗の死。
そこからは目まぐるしい程に淡々と、早々と時が過ぎた。
葬儀も終わり、悠斗の棺桶を見送った。
悠斗のご両親はその後火葬場へと行き、帰ってきた時にはまるで抜け殻のようになっていた。
涙で言葉を詰まらせながらそう伝える悠斗の母。
喪服からは、ツンと鼻をつく独特の臭いがした。恐らく悠斗を火葬した際についた臭いだろう。
私は何も言わず、棺桶で眠る悠斗の顔を思い出していた。
何が起こったのか理解できないまま。
ご飯もろくに食べず、お風呂に入り、まるで何事もなかったかのように寝床についた。
目を瞑ると瞼で光が遮断され、暗闇が訪れる。
世界と私が断ち切られる。
何も考えられなかった。
考えたくなかった。
この日、世界から悠斗が消えた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。