第8話

忘れられない日
135
2017/10/04 08:20
あの日母から知らさせた悠斗の死。
そこからは目まぐるしい程に淡々と、早々と時が過ぎた。
葬儀も終わり、悠斗の棺桶を見送った。
悠斗のご両親はその後火葬場へと行き、帰ってきた時にはまるで抜け殻のようになっていた。
悠斗ママ
春香ちゃん、今日は葬儀に来てくれてありがとうね…。
本当に…ありがとう。
涙で言葉を詰まらせながらそう伝える悠斗の母。
喪服からは、ツンと鼻をつく独特の臭いがした。恐らく悠斗を火葬した際についた臭いだろう。
私は何も言わず、棺桶で眠る悠斗の顔を思い出していた。
何が起こったのか理解できないまま。
ご飯もろくに食べず、お風呂に入り、まるで何事もなかったかのように寝床についた。

目を瞑ると瞼で光が遮断され、暗闇が訪れる。
世界と私が断ち切られる。

何も考えられなかった。
考えたくなかった。

この日、世界から悠斗が消えた。

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