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第1話

優紀side➳♡゛
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2017/10/06 10:08
炭酸のように淡い日々。戻れない青春を今、駆け抜けよう。

拗らせてるねと、誰もが思うような恋。ジリジリと胸が痛い。橘優紀は絶賛片想い中だ。それも、2つ年上の先輩に4年間も。

近所に住んでいて、いつも遊んでもらったり勉強を教えてもらったり。
そして、気持ちに気づいたのが中1のとき。先輩は中3で、野球部の主将を務めていた。そんな姿を見て、気づいた時には虜になっていた。

近づきたいが為に、野球部マネにまで駆けつけたけど、気持ちを伝えるって言うのは、そう簡単に行かない。それから4年、高校にやっと入学できたと思ったら、先輩はもう大学受験な訳で…。

先輩はいつも通り私に声をかけてくれる。でも、それがこんなにも苦しい。

この気持ちを伝えたら、距離が出来てしまうかもしれない。この気持ちを伝えたら、先輩はどう思うのだろうか。不安は募っていく一方なのに、それ程に想いは加速して。そして、事件は起きた。


「蓮人くんが好きです!付き合ってください!」



ーーーーーーードクン ドクン


心臓が飛び出るかと思った。何で、下駄箱の前で告るかなぁ…。
優紀が帰路につこうと下駄箱にやってきた時、蓮人ーー4年間の片想いの相手ーーは告白を受けていた。蓮人の顔は赤らんでいて、それを見てかっこいいと思うのに、心臓はギュッと苦しくなる。

息が止まりそうだ、彼が返事をする前に、涙が滲まないうちにここから去らなくては。そう思うのに、何でか体は動かない。

「えっと…ごめん、俺好きな人いるんだわ。そいつに諦めつくまで、彼女はつくれねぇから。ごめんな?」

あぁ、聞いてしまった。優紀は、震える足を無理矢理に動かして俯いて走り出した。


ーーー先輩の「好きな人」。誰なのだろうか。聞きたくない。でも、知りたいなんて我儘だろうか。でも誰だって思うのだろう。誰かを想っているのは辛くて、辛くて…。でも、その誰かが笑うのを見ればそんな辛さなど吹き飛んでしまう。

先輩の好きな人が、私ならいいのにーーー

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