慧の協力を得、私は両親へ会いに行った。毎日通いたいのは山々なんだけど、私は週一で会いに来ている。成長してる姿を見せたいから。
今週も見守ってほしいと最後に付けたし、しゃがんでいた姿勢から直立姿勢に戻った。
本当は寂しい気持ちが少しある。でも、それを周りに見せたくないから、無理やり笑った。
笑顔を慧に向けると、慧は私の頬をつまんで、引っ張っ──って、何やっとんじゃ!
え、ばれた!?いや、でもここはまずは否定すべきだ!
行くぞと吐き捨てたように言って、慧は歩いていった。なんだコイツ・・・。
私は走って追いかけ、ジャンプして慧の肩を叩いてやった。
叩かれた本人はムスッとした顔で私を見て、痛いとだけ言ってきた。
すると、慧の手が私の頭に乗ってきた。髪がショートだからか、わしゃわしゃやられた。
私は慧の手を頭からはがし、少しむこうにある校舎へ走った。
人通りが少なくて助かった・・・
私は振り返らずに走って、慧のことなんて気にしなかった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。