第6話

相談
588
2017/10/04 12:58
ひとりっきりの部屋の中、俺はベッドに寝っ転がり、天井を見上げていた。
慧
なーんで気づかないかなぁ
一言で言うなら、俺はあなたが好きだ。小さい時から。
普通の人なら《ドキッ》としたり《キュン》とかするようなことを、自分でも言っている気がするのだが、相変わらずアイツは気が付かない。アホか。
慧
・・・暁に電話しよ
《湯野 暁(あきら)》は、小学からの友人だ。もちろんあなたも知ってるし、よく遊んだやつだ。高校に入ってからは別々になって、電話くらいでしかやり取りしてないけど・・・・・。
暁
『はーい。さとちゃん?』
機会を通して聞こえてきたのは、高校生にしては少し高い声。女子まではいかないが、それが暁の声だ。
慧
久しぶり
暁
『うん、久しぶり。で、あなたちゃんのことかな?』
慧
悪かったな、アイツのことで
電話越しで顔は見えないが、暁のニヤけた顔が声色から想像される。まったく・・・・。
慧
で、気づかないんだけど
暁
『さすがあなたちゃん!天然で可愛いね!』
慧
だまっとけ
暁
『でも、定番台詞を言うわけにもいかないしね・・・。さとちゃんどーし───』
慧
どーしよーはこっちの台詞だよ
暁
『すんませんした・・・・。じゃあさ、いっそのことデートしてきなよ!』
慧
この前やったけど、あなたにとっては家族での外出的な認識なんだよ
暁
『じゃあ告れ』
慧
りょーかい
暁
『素直過ぎて怖い!』
慧
うるさい
素直になるしかないだろう。自分でも思いつかないんだから。
俺は「じゃあな」と言って、通話を終了した。

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