第12話

遅かった
510
2017/10/12 07:54
慧
んじゃ、世話んなったわ
暁
はいはい。なんか進展あったら連絡して!
慧
わかってる
俺はあえて高校に着く時間を、いつもよろ早くした。これも、あなたのためを思ってだ。
朝登校中に会いたくないやつに会いたいわけないからな。

あなた

いってきまーす

慧の母
行ってらっしゃい!
私は、あえて早く家を出た。もちろん、慧に会わないために。
慧は寝坊野郎だ。早く来るはずもない。
あなた

まぁ、最終的に顔は見るけど・・・

苦笑いを浮かべ、小さく独り言を呟いた。
しばらく歩くと門が見えてきた。時間が早いせいか、人はいつもより少なかった。のに──
あなた

なんで先生がいるんですか?

江崎先生
最近は物騒ですからね。生徒達の安全を見守っていようかと
見ただけならかっこいいメガネのイケメン先生なのに、中身を知っちゃうとなんか残念だ・・・・。
もうそろそろ慣れたいけど、あの笑顔はやっぱり怖い。
江崎先生
それでは、あなたさんも気をつけて
あなた

は、はぁ

とりあえず返事をして、少し早足で校舎へ向かった。
校舎に入り靴を履き替え、教室へ向かった。
慧なしでの登校は、たぶん初めてだ。なんか面白い!
ちょっとワクワクしながらも、教室のドアを開けた。
あなた

おはざす!

クラスの女子
おはよ〜
おぉ!慧がいないこと以外は変わらな──
クラスの男子
あれ?あなたの方がサトより遅い!?
あなた

・・・ん?

『遅い』って言った?早めに出たんだけどな?
クラスの男子
なんで一緒に来ないうえに、サトの方が早いんだ?
席を見れば、慧はもう座っていた。
驚きと焦りで、その場に立ち止まった。でも、慧は私を見なかった。
慧
さーねー
目を──顔をこっちに向けてくれないことが、とても寂しく感じて、胸が寂しかった。いつも一緒だったからかもしれないけど・・・・。
私も、慧の近くには行かないことにした。
クラスの女子
ねえあなたさん。さとるんと何かあった?
私が着席すると、4人の女子が机を囲んできた。めんどくさい人だー。
クラスの女子
あ、別れたとか?
なるほど。付き合ってると思ってるな?
いつも一緒にいたせいで、恋愛関係だと見られるのは慣れてる。
あなた

いや、そもそも付き合って──

クラスの女子
ほんと!?やったー!狙えるじゃん!
クラスの女子
ね!今日からもうアタックだ〜!
否定の言葉はいつも言ってた──なのに、一瞬感じた胸の痛みはなんだろう・・・・。

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