第18話

『イエス』
415
2017/11/08 12:48
理解が追いついた時には、さとちんにキスされていた。目の前には綺麗な瞳があって、口には柔らかい感触があった。
口が離れるまでは、一瞬の出来事だった。
慧
こういうの、嫌い?
さとちんだからか、触れた部分が熱い。私は思わず、手で口を覆ってしまった。でも、嫌だとは思わなかった。
あなた

別に・・・

慧
他の男だったら?
あなた

嫌だ!!

即答だ。でも、今のでなんとなくわかってきた。
さとちんに抱くこのもやもやは、【愛】とか【恋】の類かもしれない。
目の前にいる彼は、にやりとしていた。
慧
やっぱ、あなたって俺のこと好きなんじゃない?
あなた

・・・そうかも

慧
え、素直
あなた

だって、たとえあきちゃんでも、ちょっと気が引ける・・・

慧
・・・お前、天然殺しだな
あなた

なっ・・・!?

普通に思ったこと言っただけなんだけどな・・・。
私が頬を膨らます一方で、さとちんは笑っていた。
あなた

え、何笑ってんの?

慧
いや、元に戻れし、あなた俺好きらしいし。色々嬉しい
さとちんもこんな顔、するんだな。
いつも一緒にいた仲だけど、こんな幸せそうに人前で笑うのは、あんまり見たことがない。
あなた

なんか、気持ち悪い

慧
うるさい
ちょっとひどかったかもしれないけど、心の中では少し嬉しかった。
慧
ねぇ、あなた
あなた

は、はい・・・?

うお。まじのトーンだ。
笑っていた表情をやめ、私はさとちんの顔を見た。
慧
俺と付き合ってくれない?
口角は上がっていなくて、目は私だけを見ているようだった。でも、その表情にいつも持っている、彼なりの自信とかは無いように見える。
緊張しているのかわからないけど、私はさとちんの頬を引っ張った。
慧
・・・痛い
あなた

自信無いような顔しない。さとちんらしくない

それだけ言ったあと、私は速やかに手を離した。さとちんは私に引っ張られた場所を、手で擦った。

さとちんと付き合う──ちょっと悩んだけど、自分なりの答えを出した。
あなた

・・・付き合う

慧
え・・・?
イエスの返事は来ないと思ってたのか、さとちんは『え?』と繰り返し言った。その反応がなんか可愛くて、私は笑ってしまった。
あなた

そんな驚かないでよ。付き合いたかったんでしょ?

慧
え、いや、そうだけど・・・返事はノーだと思って・・・
あなた

そっか・・・。じゃあ、ちゃんと好きだって証明するよ

慧
しょう、めい?
私はさとちんに、プレゼントがあると言って、目をつぶってもらった。

プリ小説オーディオドラマ