「じゃあそろそろ帰るか」
「うん、そうだね」
楽しかったな〜。
少しだったけど…ちょっとデート気分?
なんて…
他愛もない話をしながら一緒に帰る。
こんなのも久々だ。
でももう家につく。
「じゃあね、彼女大事にするのよ!」
「わかってるって」
「じゃあ」
とドアを閉じようとすると
「あ、ちょっと待って」
「ん?何?」
すると和磨は鞄の中から
クマのキーホルダーを出した
「これあなたにやるよ」
「え…」
紫色のハートを持っているふわふわの黒いクマの
キーホルダーだった。
「あなたの好きな色が2つともあるし
気にいるかなって」
「でも、なんで私に…」
「お礼、今日のな?」
じゃ
と言って帰っていった。
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いやいや、お礼って彼女でも
ないのに、クマのキーホルダー渡す?
和磨の方から遠くなったくせに
なんで私に…
私は諦めようと必死なのにな…
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!