第13話

林さんは怖い人だった…
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2017/10/08 11:15
クローバーに気づいてもらえたのは
いいのだけど、だからと言って彼女には
なれるわけはなくて…

辛いことも多い日々なわけなのだ。

だけれど諦めようとしていたときよりは
自分に正直になったから気持ちとしては
軽い部分もある。

和磨と林さんが一緒に帰るところを
見るのはやっぱり辛いけど…

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そんなある日。

女子トイレに一人で入ると、
林さんが…

もともとそんなに話していたわけ
じゃないから通り過ぎようとすると

「ねぇ、あなた和磨の何?」

なんの話だろうか?

「別になにでもないけど」

「あのね、和磨は私のなの。
 幼馴染だかなんだか知らないけど、
 近づかないでくれる?」

「近づいてなんかないです」

近づきたくたって遠くに和磨は
いるんだから。

「はぁ」

いきなりため息をついたかと
思えば、

バシャ

どこにあったのかわからないコップに
水を汲んで私の顔にかけたのだ。

トイレには私と林さんしか
いないから誰も見ていないのを見計らったん
だと思う。

「な、なにするの?」

「なにするの?はこっちのセリフよ!
 サッカー部のマネージャーに私の友達
 がいて、聞いたの。
 和磨のタオルだけに刺繍がしてあった
 って」

「それは別に意味はない…」

「は?だってあなた、和磨のこと
 好きなんでしょ?」

「なんで、それを…」

「だから〜それも、私の友達に聞いたの!」

「だけど、林さんには関係ないんじゃ」

「あるの!いつ和磨を奪うかわからないじゃない」

「私はそんな卑怯なマネはしない」

私は目を見て強く言った。

「何よ?その目は」

何が気にいらないのかいつの間にか
水を汲んであったコップを今度は
私の制服にかけた

「ちょ」

「わかった?私の和磨なの。
 これ以上近づかないで」

そういうと後を向きトイレから
出た。

最後に
「このこと和磨に言ったら
 今度は何されても知らないからね?」

と言葉を残して…

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