第17話

先輩! (大和目線)
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2017/10/10 11:00
バタン

屋上の扉を閉める。

まさか先輩のあんな姿見るなんて
思いもしなかった。




先輩に出会ったのはサッカー部の
見学に行ったとき。
初めて見た俺は一瞬にして恋に落ちた。
なぜかはわからないけど全サッカー部員を
見る目がすごくひきこまれた。

でも俺は告白する気は全く無い。

先輩は和磨先輩が好きなんだと
すぐにわかったから。

先輩には笑顔でいてほしい。 
俺では笑顔にさせることはできないけど
和磨先輩ならできる。
そう確信したから。

でも、和磨先輩は彼女をつくった。

別に彼女をつくるのは悪いとは
思わないけど、あなた先輩の
笑顔は素の笑顔ではなくなった。

和磨先輩の彼女さんは
美人さんだとは思うけれど、
絶対裏は黒いなと分かる。

しかもサッカー部のマネージャーの人と
友達らしく、あなた先輩が和磨先輩とは
幼馴染だの、あなた先輩が和磨先輩が
好きだの、あることないこと悪口を
聞いていた。


絶対何かあると思い、和磨先輩に
言ったこともある。

「和磨先輩!ちょっといいですか?」

「どうした。大和」

「あの、和磨先輩の彼女さんって
 どんな人ですか?」

「いきなりなんだよ(笑)
 美姫菜は、性格は優しいし、
 誰にでも気遣い出来て、良い子だよ?」

それはきっと…

「和磨先輩は彼女さんのこと
 あんまり知らないんですね」

「いや、お前こそ美姫菜の
 何知ってるんだよ」


これじゃほんとの事言っても
信じてくれなさそうだ。

「いや、なんでもないっす」



あなた先輩の役にたちたいのに
たてない。
そんな悩みを抱えながらも日々を
過ごしていたらあの日になったのだ。


まさか彼女さんがそんなことをするなんて…
酷すぎる。

和磨先輩には言わない約束で
聞き出したものだけど…

どうするべきか。


あなた先輩は和磨先輩のことが
今でも好きということがすごく伝わってきたから
見てみぬふりをしていいのかわからなくなった。

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