「うぅ、」
眩しい光が目に入ってくる。
「ここは…?」
保健室か…。あっ!葵は!?
と勢いよく起き上がると、ズキっと頭が痛んだ。
「痛っ。」
頭をさする。
シャッ、急にカーテンが開いた。
そこに立っていたのは、葵。
「あ!大丈夫?葵。」
「ああ、大丈夫。悪かったな、」
「そう、よかった。」
と私が微笑みながら言うと、
一瞬、葵は、泣きそうな悲しそうな顔をした。
どうしたの?と聞く前に
「てか、その、名前…」
と言われ、最初は何が何だかよくわからなかった。
「あっ、ごめんごめん、名前で呼んじゃって。えーっと、その…」
葵、小さい頃のこと、覚えてる?私、小さい頃に遊んでたあなただよ??
なんて事は言えるはずがない。
それが言えないなんて、と悲しくなった。
「いま何時かな??どのくらい気を失ってたんだろう?」
無理に笑顔を作り言ってみた。
すると、
「なぁ、あなた。」
鳥肌が立った。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。