ー放課後ー
「またね!葵!」
「うん、また明日。」
また明日。なんて、いつも使っているけど、
葵から言われると、とっても幸せな言葉。嬉しくなる。
もう直ぐ家に着く。
「あれ?」
誰か家の前に立っている。
近くに行って声をかけてみようかと思い、歩き進むと、
「お、おばさん…?」
と声をかける。
一瞬驚いた顔をした。
その表情は葵とよく似ていた。
そう、この人は葵のお母さん。
「ずいぶん大きくなったわねぇ。こんにちは、お久しぶりね。」
「こちらこそ、お久しぶりです。」
と言い合った後、しばらく無言が続いた。
その沈黙を破ったのはおばさんだった。
「あなたちゃん、実は、どうしても聞いて欲しい事があるの。」
「なんですか??」
「ここじゃあなんだから、近くのカフェにでも行きましょう。」
うちには遠慮してくれたらしく、カフェに行った。
「あの、聞いて欲しい事って…?」
「実はね、その、葵はあの日…。事故にあったの。」
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。