長兄の帰宅から約30分後。
帰宅してきたのはこの家の双子。
と、玄関で靴を脱いでいたその時だった。
突如、居間の方から耳を劈くような泣き声がした。
あなたは靴を脱ぎ捨て、襖を開け放った。
───────スパァンッ!!!
いつも8人で囲む小さな円卓の横に、目に涙を浮かべる赤ん坊がちょこんと座っていた。
2人の大声にまたもや泣き出しそうになる赤ん坊を、抱き抱えてあやす。
───────ガッシャーーンッ!!!
突然の大きな音に、赤ん坊はまたそれに負けないくらいの声量で泣き声をあげる。
音はキッチンの方からした。
ゆうは慌てて居間とキッチンを隔てる扉を開け放つ。
もう1人の赤ん坊は、シンクの上につかまり立ちをしながら、積み上げられた茶碗や皿を床へ落として遊んでいるようだった。
思わず出てきた怒りに泣かせてしまうかと思いきや、不貞腐れた顔をしてふいとそっぽを向いた。
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その更に30分後。
帰宅してきたのは、この家の三男と末弟だった。
やり場の無い怒りを放つチョロ松に、2人は小さい首を傾げるばかり。
机の上にあった空の瓶を手に取るあなた。
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現在午後17時。
最後に帰宅してきたのは、この家の四男と五男。
部屋の奥で、十四松の野球ボールで遊ぶ2人。
今日も松野家に、チョロ松の激しいツッコミが響き渡る。
あなたの切なそうな訴えに、2人は頷き同意の意を示した。
ゆうの提案に喜んで手を挙げるトド松。
そう言い、3人は買い出しに出かけた。
チョロ松は固定電話のある玄関の方へ歩いて行った。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。