《AM6:00 一松起床》
一松は眠い目をこすりながら起き上がった。
松野家で一番最初に起きるのは一松だ。
この部屋で、六つ子の上4人とあなたが寝ている。
あなたの「男子に挟まれて寝たくない」という要望から、あなたは端。
その隣を奪い合い毎夜ジャンケンが4人の間で執り行われている。
昨晩、その座を勝ち取ったのはこの家の次男であった。
おそ松は相変わらず布団からはみ出、大きな口を開いていびきをかいている。
一松はよだれを垂らしてあなたの方を向いて寝ているカラ松を睨む。
一松は立ち上がり、カラ松の体を隣のおそ松の方に向けた。
おそ松とカラ松の頭を寄せ合い、二人の唇が触れ合った。
一松は二人の写真を撮ると、1階へと降りた。
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《AM6:20》
パチリと目を開け、静かに飛び起きたのはこの家の五男だった。
十四松は、2人を起こさないよう静かに窓を開け、屋根へと登った。
十四松は屋根から飛び降り、前転で家の前の道路へと着地した。
とても綺麗な着地。
十四松の朝は町内の散歩から始まる。
毎朝10分間、十四松は町内を散歩しお腹を空かせる。
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《AM6:30》
━━━━━━━ピピピッ、ピピピッ、
枕元にあったスマホのアラームに起こされる。
彼女は、目覚ましが無いと起きれない部類の人間だ。
アラームを止め、大きく伸びをする。
彼女の横でキスをしている2人を見て、思わず吹き出す。
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1階へ降り、襖を開ける。
むしゃむしゃと朝ごはんを食べ、口元に米粒を付けている十四松がいた。
キッチンを覗くと、一松がお弁当を作っていた。
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《AM6:40》
枕元にあったスマホで時間を確認し、4番目に起きたのは三男。
朝からキスし合っている兄を見て笑わない弟はこの世にいるのだろうか。
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━━━━━━テテレレレン♪ テテレレレン♪
寝ぼけながらアラームを止める六男。
溜息を付きながら起き上がり、大きく伸びをするトド松。
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襖を開けると、素振りをしている十四松がいた。
キッチンからひょっこりと顔を出したあなたが、笑ってそう言った。
チョロ松はお盆に乗ったご飯と目玉焼きとソーセージを受け取ると、スンっと食卓に座った。
と、同時に襖が開いた。
待ってましたと言わんばかりに、チョロ松と同じメニューが乗ったお盆を2つ持ったあなたがキッチンから出てくる。
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目の前の状況に目を疑った、松野家の次男。
寝相がいいカラ松は混乱している。
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おそ松が元気よく襖を開けた瞬間、居間は静まり返る。
二人に集まる視線。
明らかに5人の視線が泳ぐ。
チョロ松達は床で笑い転げている。
時計は《AM7:50》を指していた。
十四松は玄関に固めておいてあった、おそ松とカラ松以外のリュックやらカバンやらをまとめて持ち上げ、外へ出た。
カラ松はニッコリと黒く微笑んだ。
おそ松とカラ松以外の5人はぞろぞろと玄関に移動し、靴を履き始める。
おそ松の横にはいつの間にか制服を着たカラ松がいた。
━━━━━━━ガラガラ! ピシャッ!
ドアは勢い良く閉まり、玄関にぽつんと取り残されたおそ松。
その後、不貞腐れてサボったおそ松でした。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。