第21話

【銀時】話
188
2017/10/20 13:26
ガキの時、夏休みに学校で一泊する、って行事なかったか? 
何年か前、近所の小学校でそういう行事があって、俺にお呼びがかかった。
「夜、小学校で肝試しをやるからその前に子供達にひとつ怪談を話してくれないか?」
そういうのは大の苦手だが、金が無かったから行った。
あまり怖すぎる話もどうかと思って、まぁよくある怪談をいくつか。
教室の蛍光灯を消して、俺だけに照明を当てて。

たいして怖い話じゃなかったが、『夜、学校、変な照明、変なオッサン(俺)』と四拍子揃っていたから、ガキ共は真剣だった。
きっちり怖がってくれて、話を進めると皆じりじり寄って来るんだ。
あー、なんだかんだ言っても子供だしなー、なんて思いながら、ガキ共の顔を一人一人見ながら話をした。
で、話が終わって、蛍光灯をつけて、教室が明るくなってから、改めてガキ共の方を見たら、何か違和感が。
ガキが、少なくなってるんだ。
何人減ったか、なんて具体的な数はわからねぇけど、明らかに減ってる。
薄暗い教室で話をしている最中に見た顔が、明るくなった教室で見つけられねぇ。

その日は「親も来ていたから、肝試し前に帰る奴は帰ったのか?」くらいに思っていた。
翌日、学校にお礼を言いに行った(ギャラ貰ったし)。

先生に「途中で帰った奴も何人かいたよなぁ」と聞いてみた。
すると先生は笑って「いませんよ。参加した児童は全員泊まって行きました」
は?
「参加したガキは、何人だった?」
「28人ですよ」
ん?
そんなに少ないはずねぇんだ。
だって、二クラスが授業を受けられる視聴覚室がほぼいっぱいになるくらいガキがいたんだ。
教室が明るくなって、ガキが少し減ったか?と感じた時も、40人くらいいたんだ。

あれから数年経ち、世間でいろいろな事件があったせいで、近所の小学校では夏休みの泊まりをやめたらしい。
次にああいう機会があれば、こっそりガキの数を数えながらやりたいと思っているんだがねぇ。

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