それからまた、1週間が経った
あれから一切かけるくんと一切口を聞いてない
喧嘩はしたことがあったけど
けっきょくその日の夜にはいつも通りになっていた
だからこんなに長い間かけるくんと話さないこと自体初めて
かけるくんと離れてみてわかったことがいくつかある
まず、電車はいつもかけるくんがわたしと満員電車の壁になってくれて快適に学校に行けてたっていうこと
しかもそれを何にもいわずなんのそぶりも見せずにやってくれてたところ
このまえ、電車の中で拓海くんに会っておんなじように壁になってくれてたときは
と、とにかくムカついてた
まぁ満員電車ってだけでパーソナルスペースに人が入って来てるからイライラするのにさらに目の前のやつのために場所を開けなきゃ行けないとなると相当なストレスだと思う
宿題もやってもぜんぜん意味がわからなくて教科書何書いてあるかすら意味がわからない
先生に聞きに行っても…
と、突き返されてしまう始末
そして授業中も…
生物の集中攻撃も総ヒット
みんなわかんないのか、関わりたくないのか下向いたままで誰も助けてくれない
いや、これがフツウでかけるくんが異常だったのか
そして、お弁当や傘も家や電車にしょっちゅう忘れて来るし
夜も寝られなくて朝も起きれないという負のループ
さらに髪の毛も時間がなくてできなくてボサボサ
あぁー、もーダメだ!
未羽に八つ当たりしてしまった
あれから、謎に拓海くんに干渉されてる
どっからか入手した連絡先から
毎日連絡が来る
大半がなにしてるの?とか
なに食べてるの?とか
誰といるの?とか
もし返信が遅かったりしたら
電話がかかって来る
夜も電話がかかって来て出られなかったら
次の日会った時になんで出なかったか質問攻めにされる
あ、そういえば拓海って呼んでっていわれたんだった
呼ばないとずっとなんで?って聞かれるんだよね
わたしと拓海は別に付き合ってるってわけではない
だから、まぁいっかてケータイを放っておくと次の日質問攻めにされてめんどくさいことがわかった
あんなに楽しかった拓海との会話も今はできればしたくない
ある日ふとかけるくんの方を見るとバチッと目があった
その時なぜか泣きたくなった
そして次の瞬間
目の前が真っ暗になった
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。