「あんたあたしのこと好きやろ」
「…なんやねんやぶからぼうに……」
部活の休憩時間、みんなとちょっと離れた所におった俺に、スクイズ渡しに来てくれたあなたは受け取ったあともその場におった。
しばらくの沈黙が続いて、嫌なんでなん?とか思とったら冒頭の言葉。何の前触れもなく投げつけられたそれに、一瞬動揺してしもたんを隠して返した。
「いや、何となくやけど。いつもあたしのこと見てるやん、あんた」
「あほちゃうか…」
「うわ、照れてんの?それ」
スクイズ持った手で、多分赤なっとる顔を隠す。
それを覗き込んでは楽しそうにけらけら笑てくるから、ほんまええ性格しとる。
「やっぱし当たりや」
「なんなん?自分。急に何ゆうか思たら」
「はい誤魔化さへんの~」
「…うっさい」
「えー」
「もうちょい待ってくれや、ちゃんと言うから」
周りちょろちょろしおるあなたを止めて言うたら、今度はにやってされて、あかん、勝たれへん、思た。
「しゃーないなあ」
「ご機嫌か」
「ふふ、まあな~~」
なんやこいつ、かわいいか
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。