第63話

願い
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2018/08/04 14:15
皆に病気のことと妊娠のことを言ってから数日。

本当のことを言っても皆
今まで通り接してくれている。
優しくしてくれている。

そんなある日。

望[あなた、大丈夫か?]

っていつもみたいに聞いてくる君。
その優しさに私は思わず

「…グスンッ」

大[え、あなたどーしたん?]
照「あなた?」
流[望、お前何したん!?]
望[え、俺!?]

皆がそーやって優しくしてくれてる事が嬉しい。
そー言おうとした時、ともにぃが

『いや、望のせいちゃうと思うで。そーやってあなたに皆が優しくしてくれとることが、今までと変わらへん日常が嬉しいんとちゃうかな?』

って代弁してくれた。
流石ともにぃだね。
私の思ってること全部お見通し。

「ともにぃの言う通り。本当のこと言っても嫌いにもならずに、むしろ今まで以上に優しくしてくれて、今までと変わらない日常を送らせてくれてることがすごく嬉しくて。急に泣いちゃってごめんね。ずっと我慢してたのにさっきののんちゃんの言葉で思わず泣いちゃった、笑」

と言うと、さっき何も言わなかった濵ちゃんと淳太が

崇[なんで我慢するん?別にいえばええんやで?俺らあなたの味方なんやから。]
淳[そーやで。何があっても俺ら7人はあなたの味方やで。]

って。
そしたら、とどめにのんちゃんが

望[我慢しすぎたら今みたいになるんやから。な?俺を頼れ。こいつらに頼れ。お前だけが抱え込んで苦しんどる姿は俺ら全員見たないねん。心配になるねん。やから、苦しくなったら我慢せずに俺でもこいつらでも誰でもええから吐き出せ。ええな?]

その言葉で涙腺が崩壊した。

そのあと、数分間ずっと今まで溜めていた涙を流した。

神様。
お願いです。

この幸せな時間を今までと変わらない日常をどうか変えないでください。


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