第60話

言っておかないといけないこと
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2018/07/17 06:29
数分前に病院の主治医から電話があって
今、病院にいます。

待合室で待っていたら

《あなたさーん、どーぞ。》

呼ばれちゃった。

「あ、はい」

ガラガラガラ

「失礼します。」
【あ、あなたさん、いらっしゃい】
「どーも。」
【今日呼んだのは君の病気のことだ。】
「はい。」

やっぱり。

【この間、数日前に検査したよね?】
「あ、はい。しました。」

実は、智にぃのことを言う前に検査してたんです。
余命宣告されたっていうのは皆にも言ったけど。
それ以上に何かあるの?

「なにかありましたか?」
【実はね、あなたちゃん。妊娠してるんだ。】
「え…?」
【なんかお腹に写ってたもんだから産婦人科に聞いてみたんだ】
「はい。」
【そしたら、妊娠3ヶ月だそうだ。】
「え、病気は…?」
【病気の方のことなんだが。】
「はい…」
【もう為す術もなければ進行もしている。】
「やっぱりですか…」
【妊娠のことどーする?このままだと無理かもしれない。】
「私、産みたいです。」
【だが、赤ちゃんは無事でも君が死んでしまう。】
「私は、赤ちゃんが無事ならそれでいいんです。だから、産ませてください。」
【わかった。今日彼氏さんたちは?】
「あ、今日は生放送の仕事でいなくて。」
【それなら、帰ってきてからでも言うんだよ?いいね?】
「分かりました。」
【話は終わりだ。急に呼び出してすまなかったね】
「大丈夫です。ありがとうございました。」
【妊娠のことはまたおいおい電話してもいいかい?】
「はい、今日かけてきて下さった電話にお願いします。」
【わかったよ。】
「はい。失礼します。」
【またね】

妊娠…どーしよう。
でも、産むって言ってしまった以上産もう。
その前に…

のんちゃん達に言わないと。

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