第6話

体育祭
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2017/10/12 08:09
時は流れ、いつの間にか、6月になっていた。
6月といったら・・・梅雨!(地味だなおい)・・・ではなくて、体育祭です。
体育祭って、燃える。
各クラスで赤、青、黄色、緑、白、紫に別れて、優勝を競う。
今年、私達のクラスは黄色。クラス替えがないので、毎年、クラスの絆が深まっていく。去年は優勝は逃してしまったので、今年はより一層気合いが入っている。
これぞ青春!!と叫んでしまいたいぐらい、楽しい学校行事のひとつだ。
私は今年は体育祭実行委員なので、去年より大忙しだった。
勿論、みんな所詮普通の高校生なので、めんどくさいことは嫌いだし、やる気のない男子に喝を入れる女子もいれば、感情的になって泣き出した真面目ちゃんもいた。

それでも、私達は少しづつ団結していって、前日も、みんなで円陣を組んだほどに成長したんだよね。
体育祭当日、
それはすがすがしいほどの青空だった。
クラスのみんなで円陣を組む。
もう一人の体育祭実行委員の悠也がクラス全員の顔を見渡して、大きく息を吸った。

「やってきた事だけやろうな!!絶対勝つぞ!!!」

「おおーー!!」

どのクラスにも負けないぐらいの大声で、私達はとどろくほどの声をあげた。
ことは怖いくらい順調に進んで、
私達は、暫定3位までになった。
そして最後の種目、色別男女混合リレーが始まった。
この種目は、1年生から3年生までのクラス選抜の男女ふたりずつの選手が、走ることになっている。
この種目で1位になれば、優勝できる。
みんなハラハラしていた。
蓮と悠也は、足がはやいので、選抜に選ばれていた。
彩心と私は、好きなひとが黄色ブロックの優勝を背負ってるから、ふたりで緊張でピョンピョンはねてしまいそうだった。


「位置について、よーい・・・・・・」


ドンッ💥


ピストルの音と共に、1年生が走り出す。

最初は3位、それから、2位に浮上した。
バトンは2年生に。
そして、蓮の番がきた。蓮は、ヒョウのような長い手足で駆け抜けていく。
1位との距離が縮まってきた。
中間地点に差し掛かったとき、1位は、目と鼻の先だ。


そのとき


蓮の体が、前のめりになった。崩れていく。

みんなが息をのんだ。

私は、心臓が止まるかと思った。


すると

蓮と、目が合った。

スローモーションになる。

蓮は、私に向かって、にやっと笑った。

『見てろよ。』

その言葉は、私にしか聞こえないようだった。

スローモーションが、元に戻る。
蓮は体勢を立て直し、1位との差を詰め、抜かし、悠也にバトンを渡した。


それから、一回抜かれたけど、もう一度抜き返して、見事、優勝を飾った!

私達は、感動の渦に巻き込まれ、クラス全体でこの喜びを分かち合った。

普段クールでやる気のない男子が顔を真っ赤にしてハイタッチをしていたり、地味な女の子が、泣きながらハグをしていたりするのは、見ていて気持ちがいい光景だった。

私と彩心に関しては、共に涙もろいので、抱き合いながら号泣した。



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