第4話

向かい側の医者
204
2017/10/07 07:47
あなた

それで…警察が調べたみたいなんだけどね。私の家の周りでよく事件が起こるそうじゃない。

私はバッグから小さく丁寧に折りたたんだ街の地図を出し、広げた。
レッドがパンの入ったカゴをどけてくれたので地図を机に置いたが、地図を広げさせるためではなく、自分の近くにあった方が食べやすいと思ってやったらしい。パンを口に放り込む速度が上がった。
ハツリム
ハツリム
ちょっと!そのパンはあなたに出したんだけど!?
レッド
レッド
知らねぇよ。こちとら朝からの巡回パトロールで腹が減ってんだ…。
あなた

巡回パトロール中にここへ寄ったの?職務放棄じゃない。サボりよサボり。

レッドは私とハツリムを交互に見てめんどくさそうに溜め息をついた。
そしてハツリムに人差し指を向け、だるそうに
レッド
レッド
ハツリムが目ぇ輝かせながら話聞いてたからな。いい情報が入ったのかと思ったんだよ。
と言った。
ハツリムはハツリムで驚き、指をさされたことに対して怒っている。が、レッドはそれを聞き流すどころか聞こうともしていない。適当な返事をするため、ハツリムとレッドの会話が噛み合っていない。
ハツリム
ハツリム
大体レッドはね…
レッド
レッド
いいと思うぜ。
ハツリム
ハツリム
……あんたは入店拒否しちゃおうかな!!
こういった会話を続けるのだ。
喧嘩が低レベルすぎて苛立ちを覚える。
私は少し大きめにわざとらしく溜め息をつき、地図を指でトントンと叩いた。
2人の視線がこちらへ向いたのですかさず睨みつける。二人共取り繕った笑いを浮かべ、私に話を続けろと促した。
あなた

私が思うには、レオンさんが怪しいと思うの。

私の家の向かいに住んでいる医者レオン。紳士的で外見内面問わず申し分ない男性だが、私に対して異様に執着するため、少し苦手な部類に入っていた。
ハツリム
ハツリム
あぁ!あなたの事が大好きなお医者さんでしょ!
レッド
レッド
はぁ?本気で言ってんのかよ?
何故かレッドはキレ気味である。
私はひらひらと手首の体操でもするかのように手を振り、呆れた顔で二人を見た。
あなた

違うと思うわよ?多分。

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