第17話

渇望の白夜
59
2017/11/23 03:40
───端的に言えば、この部屋は中央ヴィヴィ支部、という名前にそぐう様な広さと人員だった。
黒のヴィヴィは人口が少ない割に質が高いのが特徴だ。小さな住宅街、商店街。そして真ん中に立つ中央ヴィヴィ支部。そして其れを貫く様に立つ時計台。時計の針は一寸とも動かず、『あの時間』を指している。
中央ヴィヴィ支部の建物の16階。そこに貞斗達一行…所謂『戦闘班』と揶揄される第一支部は大体の重要任務を司っている。
そしてその場所目掛けて。
突然白く大きな矢が飛んで来たとは、誰も予測しない。

矢は拓翔の丁度横を通過し、第一支部の部屋をぶった斬る形に収まった。
紅羽
紅羽
───!?
貞斗
貞斗
オィ、何だこれ!
拓翔
拓翔
戦闘体制を取れ。襲撃だ。
何時もの様に優しい笑顔はこうなると消える。恐らく怒りは彼の範疇を通り越している。
亜子
亜子
───こちら中央ヴィヴィ支部連絡。第一支部に襲撃。全員、備えよ。
亜子は彼女のヘッドフォンの赤い突起を押し、全体に緊急放送を流した。彼女の透き通る美声が全体に響き渡る。
千鶴
千鶴
────来る。
芽鶴
芽鶴
白のミルヴァだ!襲撃体制は89名。もっと増えるよ!

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