あの声と同時に土を踏みあげる音。
些か宜しい雄叫び。
懐かしい血の匂い。
千鶴と芽鶴の詠唱と共に莫大な情報量が頭に書き込まれる。
襲撃主は****、戦闘体制は***人、主な武器として*********────。
さっきのチンピラも、どうやらミルヴァ側だったらしい。血眼になりながら建物を這い上がってくる。
突如、拓翔の声が貞斗の声と重なる。貞斗は言われるが儘に退き、紅羽も身を乗り出していた窓から身を引く。
──そして一言。拓翔はその薄い唇を動かすと、
拓翔の詠唱は結果、チンピラの勢いを衰え、手を剥がすに至った。
高さ6mから落ちたであろうチンピラは、綺麗に紅い海を創り出している。
次に飛び込んだ亜子の詠唱。
少なくとも5人程の敵が一斉に粒子になって消えた。…否、飛ばされた。
───否、飛ばされた。
────否、飛ばされた。
──────*****。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。