第20話

口は災いの元
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2017/11/26 10:36
そして1時間後…。
第一支部から聞こえてくるのは怒声と悲鳴、それと懇願の声だ。
ミルヴァ軍1
頼む!信じてぐれェ!俺は何も知らねぇんだ!
ミルヴァ軍2
そうなんだ!知ってんのは『幹部』様だけなんだ!
貞斗
貞斗
───幹部?
紅羽
紅羽
…割りましたね…。
ミルヴァ軍1
ぉまッ、馬鹿!
とうとう優しく撫でる───『拷問』に耐えられず口を割ったのはミルヴァ軍の一人。
髭を蓄え、4、50といった様子か。
拓翔
拓翔
ふぅむ…。それで、この後君等はどうすぅるのかなぁ?
ミルヴァ軍1
頼む!生命だけは!
ミルヴァ軍2
本当に頼む!家には家族が待ってんだ!
紅羽
紅羽
───矢張、所詮は寄せ集めの傭兵の様ですね…。
貞斗
貞斗
───。
その様に貞斗も眉を潜めて口を噤む。あまり言い訳を酌量するのも何だが、『家族』という第三者が割り込むと話は複雑だ。
二人して溜息を付いた時。
亜子
亜子
『拷問』は終わりま…。
割り込もうとする亜子にそっと指で指示を伝える拓翔。唇に人差し指を当て、『静かに』と伝えている様だ。
貞斗
貞斗
んじゃァ、一つだけ条件付けたら離してやッから。
紅羽
紅羽
───この事件の首謀者及びミルヴァ軍の機密情報。それを割ること。
貞斗
貞斗
ンで…。
ミルヴァ軍の数。言えッよな?
何しろお前等は
───『副幹部』何だからよォ?
ミルヴァ軍1
!?
ミルヴァ軍2
なな、何の事だ!
紅羽
紅羽
先ずはその胸に付けたバッジを外してくる冪でしたね。
はっとしたのだろうか。ミルヴァ軍二人は胸を咄嗟に押さえようとする。然し、拘束された腕毎動かし、肩を外す結果となった。
貞斗
貞斗
ンで…俺等は
一回も『事件を知ってる奴を言え』とは言ってねェ。あくまで『吐ける情報を吐け』と言っただけだ。
亜子
亜子
まあ、普通三下如きに首謀者やそれを知る人なんて分かりませんから。
───あの数で押すミルヴァ軍なら尚更。
ミルヴァ軍1
───ッ。
ミルヴァ軍2
クソッ───!

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