日差しが眩しいグラウンドを野球部が今日も汗を流しながら走っている。
私はそう呟きながら先頭にいる敦士を眺めていた。
私はボトルにスポーツドリンクを入れ、
全員分のタオルを持ち皆のとこに駆け寄っていった。
私は敦士のとこに行きスポドリを渡した。
もう気付いている人もいるかもしれないが、
私は敦士が好きだ。
頑張って野球をしている敦士が好きだということを、
マネージャーをしている内に段々自分の気持ちに気付いた。
そう言うと敦士は練習に戻っていった。
そう呟くと私はその場にしゃがみこんでしまった。
嬉しい。
もしかしたら敦士も私のこと好きなんじゃ……
とか思ったりした。
付き合えたら、いいな。
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次の日の朝、私は少しでも振り向いてもらいたくて
スカートをちょっと短くしてみたり、
前髪をピンでとめたりしてみた。
敦士、気付くかな……
と小っ恥ずかしい事を考えながら家を出ると、
家の前で敦士が立って待っていた。
そう小声で呟くと
ハッとして恥ずかしくなった。
少しモヤモヤしながらカフェに入ると
不意に甲高い声が聞こえた。
2人は私が居ないのかのように楽しげに話していた。
敦士は私には見せたことない笑顔で笑っている。
あの子は敦士のなに……?
美優紀、という可愛らしい女の子はぺこっと頭を下げてにこっと笑った。
美優紀ちゃんは赤面し目の前で手を交差させてあたふたしていた。
私とは違い、ふわふわしていて女の子らしい子だった。
ああ、敦士はこういう子が好きなんだ。
そう思うと自分がしたことが急に恥ずかしくなって俯いてスカートをぎゅっと握った。
スカート短くしたり
ピンとめたりして、、馬鹿みたい。
敦士が私のこと好きかもとか
私調子乗りすぎ……
美優紀ちゃん、可愛いな。
気付いたら私はカフェを飛び出して走っていた。
ピン止めを外し、泣きそうになるのを
ぐっと堪えた。
ああ、駄目だ。
涙が溢れてしまう。
ずるいのは私だ。
勇気を出して告白したりアピールをしていれば
敦士の隣は私だったかもしれない。
美優紀ちゃんはきっと凄い努力をしたんだと思う
そんな美優紀ちゃんの事をずるいなんて思ってしまう私は最低だ。
私は校舎裏に行き、
1人でひたすら泣いていた。
私に、勇気があれば……
そればかり考えていた。
ひたすら泣いて、
私は決断した。
そう決めた。
だけど少しでも気が緩んでしまうと涙が溢れそうになる。
自分にそう問いかけ、
またひたすら泣いた。
失恋がこんなに辛いなんて。
そう思い、ぐっと涙を堪え空を見ると
虹がかかっていた。
まるで私を元気づけるかのように。
まるで、虹が「泣かないで。次があるよ。」
そう言ってくれている気がした。
私は失恋という壁を乗り越え
新しい1歩を踏み出したのだ。
_______________END
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!