うちの学校は市内じゃ評判が良いらしい。普通の公立中学校なんだけど勉強面での成績が良くて、今までの先輩達もレベルが高い高校へ進学しているらしい。
それだけじゃなくて、部活動の成績もかなり良い。大会があると、優勝、準優勝は当たり前で、去年の中体連では、県大会に出場できなかった部活動はなかった。
まさしく「文武両道」を実現しているこの学校で私はソフトテニス部に入っている。ソフトテニス部も例外ではなくて、去年の先輩達は団体と個人1ペアが全国大会まで進んだ。
この成績は私たちにとって、憧れであると同時に、プレッシャーにもなっていた。
新チームになってから、あまりいい成績が残せていない私達は顧問の中山(なかやま)先生から大会後に怒られることが多く、放課後の部活でもラケットを持つことなく走らされることもよくある事だった。
今日もそんな日で、
「おい、お前らー!やる気あんのか!?特に3年!お前ら今年で終わりだろ!?もっと集中しろよ!分かってんのか!!」
「はい!!」
「何が、はい!!だよ!3年だけ走ってこい!!」
今の練習の何が悪かったのか、よく分からないけど私たち3年生はラケットを置いて、学校の周りを走りはじめた。
「何なの!あいつさぁ!!何か走らされるようなことした!?うちら!」
走りながら、キャプテンの徳本愛美(とくもとまなみ)が叫んでいた。
「あれ絶対八つ当たりだよ。今日、2年生が授業中に中山のことバカにしたらしいよ」
「はぁ!?何それ!?そんなのさ、バカにされるような中山が悪いんだよ!ていうか、それで八つ当たりだったら、まじで腹立つんだけど!」
中山は、理科の先生でありがたい事に2年生の担当だった。身長は多分平均ぐらいなんだけど、かなり細い。目が細くてキツネみたいな顔をしている。学生の頃は野球をしていたらしいけど、補欠だったという噂をよく聞く。きっと、「先生彼女いるんですかー?」とでも言われて、バカにされたんだろう。
「マジであいつー!!」
愛美はキャプテンで、中山に呼び出されて怒られることも多い。だから、日頃のイライラも溜まっているんだと思う。私は副キャプテンで愛美と一緒に怒られることもあるから、良くわかる。
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30分位走り続けた頃に、中山から
「おい、お前らー、戻って来い!」
と言われ、テニスコートに戻った。その後も色々言われて、部活が終わった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。