「フレンチトーストでいいですか?」
リビングにいる先生に声をかけた。
「お、いいねー。俺フレンチトースト好きだよー。あ、花音も好きだよー」
優しい声と恥ずかしい言葉に嬉しくなりながらフレンチトーストを作った。
「おー、いいねー」
「美味しいかどうかはわかんないですよ」
「いや、これは美味いよ。匂いだけで美味いもん」
褒めてくれる先生に「ありがとうございます」と返して食べ始めた。
「そうだ、俺着替えがないからさ取りに帰ってくるわ」
昨日、酔ったままうちに来たため先生の格好は昨日と同じままになっている。
「あ、分かりました」
そう言えば先生の私服ってどんななんだろう。学校ではワイシャツだし、部活の時はTシャツ短パンだからイメージが湧かない。
「ん、どうした?」
「いや、先生の私服ってどんななのかなって思って」
「ははは、普通のやつだよ。カッコいいの期待されても困るわー」
「そういう訳じゃ」
笑いながら食べていると、
「ていうか、なんで敬語なのー?」
フレンチトーストが入っている私のほっぺをつままれた。
「むごごご!」
「んー?2人の時はタメ口にしようって言ったよねー?」
慌てて口の中のものを飲み込んで話した。
「ご、ごめん」
「もー、まぁ、可愛いから許すよ」
頭を撫でられて恥ずかしくなった。
「じゃあ、ちょっと帰ってくるわ」
「うん」
優翔を玄関まで送ってから、ソファで少しの間ボーッとしていた。嬉しくて気持ちがフワフワしている。
そのあと、いつもより少し可愛い格好をして優翔を待っていた。
今日はいい日になりそうな予感。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。