第41話

adidas
198
2017/11/19 14:43
30分程してから、私のスマホがなった。
優翔
優翔
着替えてきたよー!出てきてー!
花音
花音
なにー?どーしたー?
優翔
優翔
デートしよー♡
「えっ!?」

一人しかいない部屋の中で驚いて叫んだ。今日はずっと家で一緒にいるんだと思っていた。
花音
花音
分かった!!
返事をして、財布、ハンカチ、ティッシュ、ポーチをリュックに入れて、スニーカーを履いて家を出た。

「かーのんー!」

玄関を開けると車から優翔が手を振っていた。

「優翔!」

車まで走っていった。

「助手席乗って」

優翔に言われるがままに助手席に乗った。

「どこ行きたい?」
「え、ほんとに行くの?」

思ってもみなかった『デート』という言葉に頭がついて行かない。

「行きたくないの?」
「いや、そうじゃなくてさ!」
「そうじゃなくて?」
「……いいの?」

私は生徒で優翔は先生。もしも誰かに見つかれば問題になるのは避けられない。だから、デートできるなんて思ってもみなかった。

「いいに決まってるじゃん」
「でも、だって、」
「誰かに見つかったらって?」
「うん……」

私が頷くと、優翔は頭に手を置いてきた。頭に手を置かれるのは今日2回目。

「まぁ、確かに見つかったら問題だけどさ、今はそんなこと気にしないの。デートしたいからデートするの。見つかったらそん時はそん時だよ」

笑いながら言う先生に、なんとなく大丈夫だと思ってしまった。

「そういう訳だからさ、どこ行きたい?」
「うーん……どこだろ…?」

デートできることにワクワクしすぎて、何も思いつかなった。

「じゃあさ、俺が行きたいとこでいい?」
「うん」
「買い物行きたいんだよね、いい?」
「うん!」

ショッピングモールに向けて出発した車の中で、さっきは慌てていて見れなかった優翔の服を見た。

adidasのロゴが描かれた白のTシャツに黒のパンツ。シンプルで優翔によく似合っている。黒の丸メガネも可愛い。

「ふふ、恥ずかしいんだけど。そんな見られると」
「うん」
「うん、じゃなくて」
「えへへ」

私服の優翔が見れた喜びに浸っていると

「カッコイイ?俺」
「自分で聞くの?」
「へへ、良いじゃん。どうよ?」
「…うん、かっこ…いいよ」
「花音も可愛いよ」

さっきからずっとドキドキしっぱなしだ。

「あ、ありがとぅ」

ドキドキしながらショッピングモールに着いた。


初めてのデート……誰にも会いませんように!










プリ小説オーディオドラマ