第45話

石川ー!
171
2017/11/25 00:49
「舞子の好きな人って、石川くん?」
「え!なんでわかったん!」
「いや、俺だって見てればわかるよ」

石川航大(いしかわこうだい)くん。イケメンじゃないし、運動もそんなに出来るわけじゃないし、勉強もイマイチ。目立つほうでもなく、地味な方でもない。フツメン。男女とか目立つとか目立たないとか関係なしに、誰にでも話しかける舞子だけど、石川くんには特に話しかけている。

「えー、バレてんのかー」
「逆にバレてないと思ってたの?」
「めっちゃ隠してたのになー」

舞子がまたブランコを漕ぎだした。

「告白すんの?」
「いやー、出来ないよ」
「えー、嘘?」

舞子にしては珍しく消極的だった。思いたったらすぐ行動!みたいな舞子だから。

「じゃあ、大樹の好きな人教えてよ」

突然の言葉に大樹は驚いていた。

「いや、なんで俺なんだよ」
「大樹の好きな人ってー、陸じゃない?」
「え?」

私と大樹の疑問の声が重なった。なんで知ってるの?

「わたしさー、友達多いからさ、そんなに仲良くない人のLINEとかも持ってるんだけど、陸のLINEも持っててね、陸のアイコン?が、大樹の後ろ姿なんだよね」

舞子の話を聞いて、大樹は固まっていた。

「それでね、気になったから陸に聞いたの。なんでアイコン大樹なの?って。最初は全然教えてくんなかったんだけど、誰にも言わないって約束で教えてくれたの。アイコンが大樹の理由、なんだったと思う?」

大樹は下を向いていた。どんな表情なのかは分からないけど、混乱しているのかもしれない。大樹の答えは聞かずに舞子が続けた。

「大樹のことが好きなんだって。小学校の頃からずっと。でも、自分のせいで仲直り出来てないって。気にしてたよ」
「……なんとも思わねーのかよ」

大樹が下を見ながら言った。

「何をー?」

何も気にしていない様子で舞子が答えた。

「俺、男で、陸も、男、だぞ?」

途切れ途切れになりながら絞り出した言葉だった。そんな言葉に笑いながら舞子が言った。

「気にしないよ別に。今から名言を言っちゃうけどね、恋愛に壁はないんだよ」
「意味わかんねーよ」

軽々しく恥ずかしいことを言った舞子に大樹は苦笑していた。


そのあと大樹が、私に話してくれたことを舞子にも話した。舞子は、おぉーとか、ほぉとか、色んな反応をしていた。

「あ、じゃあさ、大樹も舞子も告ったら?」

私から提案した。

「いやいやいやいやいや!無理だって!」
「大丈夫!舞子なら出来る!大樹なんか、両想いって分かってんだから告んなきゃもったいないよ」

最初は二人とも拒否していたけど、3人で色々話していたら乗り気になったようで最終的には

「リア充なってやるー!待ってろ石川ー!」

と舞子が叫んでいた。

プリ小説オーディオドラマ