第49話

夏だから。
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2017/12/08 11:03
飛行機の中は家族連れが多く、小さな子供が多かった。飛行機に乗って30分位たった頃、隣にいる優翔から寝息が聞こえてきた。毎日部活で、普通に先生としての仕事もあって、疲れているのだろう。その寝顔があまりにも可愛くて、大阪に着くまでの間に何枚か写真を撮った。

「着いたなー!大阪!」

大阪に着いて目を覚ました優翔は、ぐっすり眠っていた分少し元気が出ていた。

空港から予約したホテルまでタクシーで向かった。その時のタクシー運転手さんに、兄妹か?と聞かれた。優翔が、いや、違うんです、と答えると、カップルか?と少し驚きながら聞かれた。優翔が、はい、と答えると、運転手さんはかなり驚いていた。やっぱり知らない人から見れば兄妹に見えるのか。

ホテルについて部屋に案内してもらった。荷物を置いて、大阪の街を歩いてみた。いつもとは違う環境にドキドキしていた。

「人、多いね」
「うん」

二人でゆっくりお店を見て回った。田舎にはない店や、本物の関西弁に感動していた。

歩いていると、人とぶつかりそうになることが多く、右によったり左によったりしていた。前から来る女の人とぶつかりそうになり左によった時、優翔と肩がぶつかった。その勢いで私の左手と優翔の右手が少し触れた。さっきまでの距離感に戻そうと、優翔から離れようとした時、私の左手は優翔の右手に捕まった。

「!!」

驚いていて優翔を見上げた。優翔は私の視線に気づいているはずなのに、私の方は見なかった。ただ、顔を赤くしていただけだった。繋いだ手から体がだんだん熱くなるのがわかった。

「やっぱり夏は暑いね」
「夏だからな」

そう。夏だから。夏だからこんなに暑いんだ。




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