第55話

寝顔。
181
2017/12/28 01:14
次の日、目が覚めると、優翔はまだ寝ていた。起さないように気を付けながらベッドから降りた。自分のスマホを持って、気付かれないように寝顔を撮った。私が満足して、昨日撮った写真から眺めていると、

「また盗撮ー」

という声が聞こえた。

「起きてたの!?」

慌ててスマホを閉じると、ニヤニヤした優翔が横になったままこっちを見ていた。

「寝顔を撮るなんてー、変態ですなー」
「ち、違っ!」

変態、と言われ慌てる私を楽しそうに笑いながら見ている。ベッドから降りてきて自分のスマホを手に取った。

「そんなことだろうと思ってー」

優翔が見せてきたスマホの画面には、

「あっ!!」

私の寝顔が写っていた。

「なんでっ!?」

私の驚く姿を楽しそうに笑っている。

「実は、花音が起きるよりも先に、目が覚めてたんだよねー。それで、花音なら俺の寝顔を盗撮してくるんじゃないかと思って、先に盗撮してましたー」

さっきからずっと楽しそうに話している。

「ねえ、私の寝顔消して?」

自分の寝顔ほど、見たくないものはない。そもそも可愛くない顔が、余計に可愛くなくなっている。

「俺のも消してくれるならいいけど?」
「それは…」

消したくない。だって、滅多に見れない顔だよ?と、言いたいけど、恥ずかしくて言えない。

「ね?俺も消したくないの、分かるでしょ?」

優翔の言葉に素直に頷く。

「というわけで、これは大切に保存させていただきまーす」

本当は消してほしいけど、仕方なく諦める。

それから、私がトイレに行ってる間に優翔が着替えて、優翔がトイレに行ってる間に私が着替えて、朝ごはんを食べた。

「荷物も、まとめよっか」
「あれ?もう1回ここに泊まるでしょ?」
「ん、あー、いや、うん。とりあえずまとめて」

あれ?二泊三日だから、もう1回ここに泊まると思ってたんだけど、違うのかな?

「ここ、泊まんないの?」

私の質問に「まあまあまあ、ね?」という答えを返され、結局どうなるのかは分からないまま、ホテルを出た。







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