第57話

ミニオン!
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2018/01/04 05:57
「やっとついたな」

優翔のその一言で改めて実感する。本当に来たんだ。

「…うん」
「ん?どうかした?」
「嬉しいなーって思って」
「そか、良かった」

へへ、と二人で照れ笑いしながらチケットを行列に並ぶ。好きな人となら、いつもは面倒くさくなる行列の時間すらも好きになれる。

長い行列を終えて遂に、中に一歩足を踏み入れる。

「よっしゃ、どこから行くか?」

優翔もいつもよりテンションが高くなっているのが分かる。

「まずは…」

ミニオン!の言葉が優翔と被る。お互い顔を見合わせて驚く。と同時に笑い出す。あーっ、もう!幸せすぎる!

ミニオンに向けて歩き出す。少し歩いたところで優翔が止まった。何かあったのかと思い振り返ると、すぐに近づいてきて、そのまま歩き出した。

いや、正確には私と手を繋いで歩き出した。

優翔は、手を繋ぐ時、いつも急に繋いでくる。繋ぎたいなら繋ぎたいと、言ってくれればいいのに。いや、言われたら恥ずかしくなって、緊張して、うまく繋げなくなるかもしれない。

まあ、手を繋げるならなんでもいいや!

そんな事を考えながら、二人で歩く。

「ふふ、ほんっとに楽しそうだね」

優翔が私を見下ろしながら笑う。私の考えていたことがバレてしまったみたいで、恥ずかしくなる。

「優翔は?楽しい?」

優翔を見上げて聞く。優翔は顔を真っ赤にして答えてくれる。

「うん、ちょー楽しい!」

そんなこんなで、ミニオンまでたどり着き、そこからまた、行列に並ぶ。

_______________

気づけばもう日は沈み始めていた。楽しいと時間が過ぎるのが早いんだと、改めて思う。

「もう暗くなってきたね」

少し残念そうに呟くと優翔が頷く。

「帰ろっか」

優翔の言葉に私も頷く。だけど、

「今日はどこに泊まるの?昨日のホテルじゃないんでしょ?」

昨日泊まっていたホテルは一泊分しか予約していなかったようで、今日どこに泊まるのかは聞いていない。

「だいじょーぶ!ちゃんとホテルとってあるから」

そう言うと、「はい、はぐれないでねー」と言って私の手を握り、出口に向かって歩き出す。






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