「…………」
もしかしたら、私はもうすぐ死ぬのかもしれない。
だって、あまりにも幸せすぎるから。
私が今いるのはホテル。ホテルなんだけど普通のホテルじゃない。あ、変な意味じゃなくて。
私が今いるのは、USJの側にあるホテル。名前を知らなくても分かる。高級感がすごい。高級感っていうか、実際高級だと思う。
「……すご…」
今日は朝から驚き過ぎて、言葉が出ない。
「あははは、でも、ここは俺が予約したわけじゃないんだけどね」
「ん?どういうこと?」
「俺の友達がね、USJ行くならせっかくだからこのホテルに泊まりなよって言ってて」
落ち着きなく部屋の中をウロウロしている。
「でも、高いじゃん?ここ。だから無理ーって言ってたら、ここの予約してくれてて」
「いや…どんな友達だよ…」
つい、つっこんでしまったけど、会ったことのない優翔の友達に感謝しておこう。ありがとう。
「にしても、ホントすごいな」
一旦落ち着いたのか、優翔がソファに座る。
「ほんとだよね。こんなとこ、来れるなんて思ってもみなかった」
窓からの景色も素晴らしく、すっかり見とれてしまう。
ご飯を食べるのも、お風呂に入るのも感動しながらで、本当に夢の世界に来たようだった。
寝る時もなかなか寝付けなかった。
USJのドキドキのせいなのか。
それとも、優翔が隣にいたからなのか。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。