第75話

うぉっ!
109
2018/02/04 15:32
「おっはーよーうっ!」

朝、登校中に後ろから強い衝撃を受けた。

「うぉっ!」
「だははは!変な声!」

衝撃の正体はもちろん、

「舞子のせいでしょ…」
「ははは!ごめん、ごめん!」

舞子はどうしてこんなにも朝からハイテンションなんだろう。

「今日さ!午前中で終わりだよね!」
「いや、授業が午前中で終わりなだけで、学校自体は午後まであるじゃん」

文化祭まで一週間。今日からは部活動も休みで、午後からの授業は全部文化祭の準備時間になる。

「つまり、午後からは遊ぶってこと!じゃん!」

だからテンションが高かったのか。いつもに増して。


教室に入ると、みんなのテンションがいつもより高いのが分かった。きっと今日から一週間、ずっとこんな感じなんだろうな。

「はぁ……」

つい、ため息をついた。昨日のこと、先生の前では表情に出さないようにしたけど、バレなかっただろうか。そんな気持ちと同時に、気づいてほしいという、自分勝手な考えも生まれる。

しばらくすると、いつもと同じように先生が入ってきた。

「いいかー?今日から文化祭まで一週間になりました。だから、午後からは準備時間ということで、授業はない」

ここまで言うと、何人かが「よしゃっ」と小さくガッツポーズをした。

「はい、今喜んだやつは午後からも授業でーす」

冗談を交えながら話を進めていく先生は、いつもと変わらなかった。昨日のこと、先生の中では終わったことになっているんだ、と思うとほっとしたし、辛くもなった。

「じゃあ、今日も一日頑張ってくぞー」

我に返った時には、先生の話は終わっていた。

プリ小説オーディオドラマ