前の話
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どこにでもいる様な普通の少女神那(かんな)は、最近不思議な夢を見る。
月に住むという少女ルーナが出てくる夢だ。
ルーナは月に負けないぐらいの輝く銀色の髪を持ち、透き通るような肌をし、宇宙のように吸い込まれそうな紫の瞳を持つ。
ルーナは月に立って地球を見ている。
そしてとても悲しそうな顔をしながらこう言うのだ。
「地球は青くてとても美しい星だったのに、どうしてこんなにも黒く濁ってしまったのだろう」と…
確かに神那もそう思っていた。
ここは50年前まではとても青く美しい星だったとおばあさんから聞いていたからだ。
しかし今の地球はとても黒く濁っている。
それは他の星から色んな人がやって来て海や森をほとんど無くし、自分達の住処にしてしまったからだ。
神那は思った。
50年前の地球を取り戻したい、美しい地球を見てみたいと。
そして神那はルーナに言った。
この地球が美しいのを見てみたいと。
するとルーナはいいよ、でも50年前のような地球には出来ないけどいい?と答えてくれた。
神那はそれでも見たいと思いすぐにうんと言った。
でもそんなことはもう叶わないだろう、そう思っていた。
今日までは…