第6話

言ってはいけない
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2017/10/18 08:35

私「勇気。帰ろう!」

勇気「そうだな!お前から誘うなんて久しぶりだな!」

このセリフを何回も聞いた。

私は急がず、勇気のペースに合わせた。
でも、帰り道は勇気が話すものの、私は「うん」しか言えなかった。

勇気「...美夜元気ないな。どうしたんだよ。」

私「...だ、大丈夫だよ!元気、元気...」

勇気を心配掛けたくなかったから、頑張って出したけど、ダメだった。

勇気「...なにがあったか知らねーけど、たまには俺を頼れよ」

目は合わせられなかった。だって、そんなこと言われて、涙が出そうだったから。

私「うん...!」

涙をこらえて頑張って返事をした。
でも、我慢出来なかった。

ぽたぽたと落ちる涙。
もう、抑えられなかった。

勇気「お、おい!どうしたんだよ美夜!」

言ってもいいのか悪いのか分からないけど、我慢出来なくなって、言ってしまおう! そう思った。

勇気の腕を掴み、勢いよく顔を上げて真っ直ぐ勇気を見る。

私「勇気!ぁのね、あの!」

勇気「なんだ?」

優しい声で呼びかける。

私「勇気は...これッッ!」

いきなり、喉になにか詰まった感じがして声が出なくなった。

私「ゴホッゴホッ!」

咳が出て、息が荒くなる。
喉が焼けるように熱い。

勇気「大丈夫か!?!」

私「ゴホッ!だ、大丈夫...」

私は理解した。
話してはダメなのだと

勇気「それで、俺が何だ?」

私「ごめん...やっぱり、何でもない。」

勇気「.....そうか...」

勇気は心配そうな顔をする。

勇気「言いたいことがあったら何でも俺に言えよ!」

コクっと頷く。

その後は何も話さなかった。

私は勇気の後ろを歩く。


ついに、あの交差点にに来た。

大丈夫!大丈夫!

自分に言い聞かせる。


トラックが凄い速さで突っ込んでくる。

私は、トラックから約10mで勇気の腕を勢いよく引っ張る。

私の目の前でトラックが通り過ぎて、そのまま電柱に突撃。

助けられた...の?
やっと!やっと!

その時、大型の車が突っ込んできた。
スローモーションで進む。
勇気は私の肩を押す。
そして、勇気は車に引かれてしまった。


周りは大騒ぎ。

私は馬鹿だ!油断をしてしまった。
どうしてなんだよっ!

私「...!どうして.....」

涙がどんどん流れる。


勇気は病院に運ばれた。
やはり、勇気は助からなかった。


私はあの時みたいに部屋で大泣きした。
そして、疲れて寝てしまった。












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