第8話

勇気への想い
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2017/11/15 06:11

また、“あの日”にやってきた。

窓から夕日が照らす。


今日で終わらせよう!

だから、また言わないとな…


「好き」って。


私が何度も言った言葉。

私「勇気。一緒に帰ろう。」

何度も見た、勇気の驚いた顔。

勇気「そうだな!美夜から誘うなんて久しぶりだな。」

何度も見た勇気の笑顔。

私「うん.....そうだね。」

私達は急がず、いつものペースで歩いた。




帰り道。

私「ねぇ、勇気。」

勇気「ん?何だ?」


あの時よりは緊張しなかった。
何故か分からないけど。していなかった。

私「あのね、私。好きなんだ。勇気のこと」

真っ直ぐ勇気を見て、笑顔で言った。
何故か、泣きそうになった。
涙が出てきそうで、必死に堪えた。


勇気は顔が真っ赤だ。

勇気「そ、そーゆーことわな。俺から言わせろよ。バカ」

私「...うん...!」

知ってるよ。知ってる。でも、ごめんね。もうすぐでお別れなんだよ。勇気

勇気「俺も、美夜が好き!」

答えは知っていた。知っていたのに、不思議と涙が出てきた。

ポロポロ流れる涙は止まらない。

私「.....知ってるよ...ばーか」

勇気に聞こえないぐらい小さい声で言った。

勇気「ちょ!何で泣いてんだよ!」

私「...なんでかな...。とても、嬉しかったから...かな?...」

勇気「なんだそれ!」

ワハハと笑う勇気。
そんな笑顔が見れなくて、うつむいてしまう。


ねぇ、勇気。
私、凄く凄く、勇気が好きだよ。
誰にも負けないくらい。



好き。





いよいよ、あの交差点に来た。
怖くなかった。死ぬんだと分かっていたけど、怖くなかった。


だって、
勇気を助けるため。
勇気を守るため。

私は勇気の全てだから。



私は勇気の後ろを歩く。


私「ねぇ、勇気。」

勇気は振り向く。

勇気「何だ?」

ニコッと笑う勇気。

この時、「あぁ、好きだな」って思った。
いつもの、勇気の笑顔。やっぱり、大好き。



その時、あのトラックが突っ込んできた。


スローモーションで時が進むように見える。

何度目だろうか。
この瞬間が来たのは。


私は勇気の腕を掴み、精一杯の力で押しのけて飛び込んだ。
スローモーションで進む時間、ゆっくりと勇気を見る。

私「ありがとう!」

私が思う精一杯の笑顔で勇気に伝えた。


その瞬間、トラックにぶちあたる。
体全身に激痛がはしる。
でもそれは一瞬だった。
激痛はおさまった。
地面には真っ赤な血。
とても、あったかい。お風呂に入っているみたいに。
血はどんどん地面には広がっていった。
とても、寒い。寒い。寒い。寒い。寒い。
クラクラする。目の前が暗い。眠くなってきた。

勇気が必死に呼びかける私の名前は聞こえなくなってきている。

私の目には、涙があった。

この涙はなんだろう。

痛くて泣いているのか?
悲しくて泣いているのか?
怖くて泣いているのか?
嬉しくて泣いているのか?


やっと助けられて泣いているのか?


私には、分からなかった。

自分のことなのに、わからなかった。





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